飛騨方言"そうそと"ですが、"そうっと静かに"という意味の副詞です。
ネット検索しますとわずかに三十件程度で飛騨全域、富山、そして名古屋地域で同じ意味で使用されています。
中部地方にわずかに残る共通方言です。
語源を考える上でのヒントですが、(1)アクセントが○●●であること、
(2)日葡辞書の記載に、そと(=すこしばかり)、がある事、の二点にかんがみ、室町時代に使用された古語副詞・そと、
に由来する言葉であろうと筆者なりに推察いたします。
この古語・そと、は現代語に至り、そっと、あるいは、そうっと、という言葉に変遷しています。
その一方、飛騨方言においては室町時代から、この語幹部分は変化せず、いつの時代からか接頭語・そう、
が用いられるようになったのであろう、つまりは中部地方方言・そうそと、は言い換えますと
接頭語・そう+古語副詞・そと、の複合語
が語源であろうというのが筆者の主張です。
あるいはもっと穿った考え方としては、
都では、そと、といわれた言葉を飛騨人は、そとそと、と話し、やがてこれが、
そうそと、に変化したのではとも思いますが、どうでしょうか。
(実は五百回ほど内省してみたんですよ、フーッくたびれ)
いずれにせよ、本稿の記述により何故、飛騨方言・そうそと、が、
早々と(そうそうと)、という副詞の全く逆の意味でなければならぬのか
という事がもはやご理解いただけましたでしょう。
参照 飛騨方言俳句雪が消え、そうそと歩くあぜ道を
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