(動詞未然形)ずの表現は共通語においては当該動詞の打ち消しの意味になります。
例えば、のまずくわず、と言えば飲みもしないで食べもしないで餓死寸前という意味です。
ところが飛騨方言で、のまずくわず、といえば、のむでしょうし食べるでしょうよ、という
逆の意味になります。
雪が融け、山のけものぁ、飲まず、食わずという俳句を
詠んでみました。
この飛騨方言の言い回しの原意は、のまんとす・くわんとす、になり、
また飛騨方言では更に、のまずも・くわずも、とも言いますので、
のまんとすも・くわんとすも、が元の言葉である事が分かります。
ところで佐七以外の辞書に紹介します
岐阜県の各地の方言
によりますと、飛騨方言・こず、は共通語・こうぞ、に当るとの記載があります。
この解釈によれば、あるいは、飛騨方言・こず、は、古語・こようぞい、が
ルーツという事になるのでしょうか。
手元の古語辞典によりますと"〜ぞい"は連語で、終助詞・ぞ+終助詞・い、に分解でき、
文を言い切ったところ(つまり"こよう")に付き断定や疑問の意を穏やかに示す、とあります。
更には詠嘆の終助詞・な、なあ、が「ぞい」に接続することもある、と記載されています。
飛騨方言・のまず・のまずも・くわず・くわずも、は
従って、のもうぞなあ・くおうぞなあ、と訳する事が
出来るのであろうと筆者なりに考えます。
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