大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

ラ行五段仮定形(雨が降ったら)

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私:早速だが、雨が「降ったら」とも言うし、「降れば」とも言う。方言ではなく、共通語。
君:方言の事をお話しなさらないとこのサイトの存在意義が無いわよ。
私:ふふふ、「降ったら・降れば」、これは方言なんだ。
君:冗談はよして。
私:実は国立国語研究所がお調べになった。情報は方言文法全国地図(降ったら俺は行かない)。口語の世界。
君:へえ、そうだったのね。
私:簡単にひと言、東京も大阪も「降ったら」。つまり中央語は「降ったら」。飛騨は「降れば」の地方。つまりは飛騨はマイナーだ。但し飛騨でもなんと荘川と南飛騨あたりでは「降ったら」。富山・石川・愛知なども「降ったら」だ。九州・沖縄は「降れば」のみ。これ、どう思う?
君:なるほどね。「降れば」が古く、「降ったら」が新しい、という事かしら。
私:まあ、そうだね。「降れば」は自ラ四「降る」已然形+接助「ば」、元々は已然形だけれど中世に仮定形になってしまった。「降ったら」は「降りたら」、つまりは自ラ四「降る」連用形「降り」+完了・過去「たり」の未然形「たら」、これの促音便ってなところかな。英語文法じゃないけれど、完了・過去の助動詞の未然形って正に英文法で言うところの完了・過去、仮定法過去、みたいな感じで、こちらのほうが昔はナウな言い方だったという事なのだろう。
君:さあ、どうだか。
私:雨がやんだら♪
君:藤圭子さん、しぶいわね。ほほほ、好きなの?
私:うん、実は好き。元々は渡哲也さんの歌だったか。懐かしの昭和歌謡。19655、小学校五年生だった。また僕はビートルズ世代でもある。レコードは全て持っている。
君:「降ったら。降れば」共に共通語だけれど、どちらがスッと出てくるか、という事が方言のテーマなのよね。
私:微妙な問題だけれどね。ところで昭和歌謡といえばこんな歌も。1970、斐太高校の二年生だった。大人の恋にあこがれていたんだよ。ぶっ
君:「雨がやんだら」も方言学のテーマという事ね。こちらのほうは撥音便にならず「雨がやみたら」という地方があるのかしら。ほほほ
私:その通り。でも書き出せばきりがない。それはまた別の機会に。本日の結論、促音便「降ったら」は都会風で、飛騨の高山では「降れば」。ただし荘川では「降ったら」。今夜も議論が済んだら明日までしばしのお別れなのね、僕達。ぶっ
君:そうよ。今日の話は、合掌造りの部落に雪が降ったら、という事かしら。ほほほ

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