大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
しょうけ(小笊) |
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私:「しょうけ」と言えば竹の細い縦割りを材料とした網籠のようなもので、生活用語のひとつ。野菜の水切りや米あげなどの台所用品。小屋名しょうけの通りだが、小屋名は故郷大西村の隣村。![]() 君:今夜も語源の話ね。 私:升受(しょううけ)の訛りとの事だがいかにもありそうな説。当サイトの記事としてはこことここ。今夜は更に情報提供しよう。小学館日本方言大辞典によると「しょうけ」は全国共通方言で漢字は小笊。つまり小さなザル。笊の音読みはソウなのだが「しょうそう」とはならないようだ。全国の音韻としては、ショーケー、ショーゲ、〜ジョケ、ショゲ、ショーキ、シャーギ、シヤク、ソウケ。 君:それで語源はピンと来たのかしら。 私:ひとつには「おけ桶」かな。小桶の漢字表記でない時点でアウトのような気もするが。もう一つは材料である「たけ竹」だろうか。 君:ショータケがショーケに変化は流石に無理でしょう。 私:そうだね。ショーソー小笊も、ショーザル小笊の音韻変化も流石に無理。 君:万策尽きたわね。 私:ふふふ。 君:えっ、何?見つけたの? 私:角川古語大辞典に、「さうけ笊笥」があった。日葡には Soqe 竹籠、または小籠、の記載がある。これで決まりだ。 君:笥の音訓はシ・ス、はこ。つまりは「サウシ・サウス」辺りから「サウケ」そして「ショーケ」に音韻変化したのね。 私:日葡にある以上、中世語としては「サウケ」で決まりだが、中世の外来語ではないでしょう。竹取は日本最古の物語。当時からの生活品だったろうから。 君:結論をお願いね。 私:語源の音韻は「サウケ」。これが近世に「ショーケ」になった。これが更に音韻変化して各地の方言に残っている。つまりは「小」は近世の当て字。「アウ」から「オー」への音韻変化は「開合の区別」が最も合理的な解釈。四段未然形が二つあるのと同じ理屈だ。「行かう・行こう」から「行かない・行こう」。本当の結論は上記の岐阜県庁サイトの情報、升受説、は実は間違いという事。ぶっ 君:ほほほ、もうひとつ、当て字の謎解き、笊笥の字よりも小の字の方が書くのに簡単だから、しかも笥を省き笊を残すとは、というのも本当の理由になるわね。漢字といい、音韻といい、説明としてはドンピシャリだわ。 |
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