宗和流本膳と
言いますと、料亭「洲さき」さんの
情報ばかりがやたらにヒットするのが、佐七にとっては
少し物足らない感じです。
うーむ、飛騨で最古参の料亭・洲さき、の宗和流本膳とはハテ
いかなるものやら。
コラ佐七いさるない、と嫌悪感を催す方もおみえでしょう、でも聞いて!
さて、祝い歌めでた、があって後は無礼講、
これは飛騨人にとっては共通項である事は書くまでもなし。
宗和流本膳とは実は飛騨の宴会の
もうひとつの大事な共通項のようです。
つまりは車座の宴会席で、とにかくあるわあるわ、
お料理がてんこもり、これがまさに宗和流本膳なのです。
更には、報恩講(ほんこさま)などですね。
それでも料理はまだ足りんぞ、と言う事で、わらび・ぜんまい・こもどうふ・しなづけ、
などを盛った皿を人々の間にででーん、と置いて、
さあどなたでもどうぞ、というご馳走攻め。
要は、おおごっつぉ,これが実は宗和流本膳の真髄です。
高山市にお住まいの方でも、あるいは郡部にお住まいの方でも、
洲さきさんの宗和流本膳をちょいとだけお知りになりたい方は
岐阜県ミュージアムひだへ是非どうぞ。約五分ほどのAV展示で
飛騨の伝統料理・宗和流本膳がよくおわかりいたたげます。
本物の宗和流本膳とは実は三時間も四時間も延々とかかるのです。
覚悟なさいまし。
さて金森宗和は高山の町を築いた金森長近の孫で茶人。
宗和流の祖ですが、今に伝わるその本膳料理は
昔とは似ても似つかぬ料理かも知れません。
以上がとてもとてもつまらない前置き、
さて佐七節です。
実は 2007/8/25 に上記の岐阜県ミュージアムひだへ行ったのです。
そのAV展示も見ました。
うーむ、その昔、実は家内と洲さきさんで食事をした事も
思い出されて、やはり書かなくっちゃと。
ところで飛騨で、宴会といえば、祝言(しゅうえん)、
村祭り、同窓会、正月、お盆、報恩講(ほんこさま)
などですよねえ。やはり飛騨には宗和流本膳の伝統があると思い知らされました、
岐阜県ミュージアムひだ殿。
料亭洲さきであれ、何であれ、共通項があるのです。
これなら面白い話やろ。
このような飛騨の伝統を知らない方が宴会に
招待されたら、このおおごっつぉを全部たいらげろというのか、
と誤解されませぬように。
飛騨の宴会では実は I am awfully sorry, but the party is final. お開きとなった時にはじめて、では食べ切れなかったお料理は
お土産にどうぞ、と言う事で空の折り箱が配られます。
ドギーバッグ doggy bag というアメリカ語をご存知でしょうか。
レストランで美味しいけれど食べ切れなかった場合には、
ドギーバッグプリーズ、と言えばよいのです。
折角だから家に持ち帰って愛犬にも分け与えるわ、という意味の
犬の餌を入れる袋ですが、勿論、客とレストランとの
暗黙の了解、留守の家族が食べるかあるいは当人等がまた明日、
家で食べるかも。残念ながら愛犬の口には入りません。
宗和流本膳とはお土産用のご馳走をいきなりお示しして、
そして最後にドギーバッグ・空の折り箱をお渡しするという
飛騨一流の美学なのです。
ですから決して全部食べてはいけません。
お土産用の分は必ず残す事。
さして佐七流の締めくくり、宗和流本膳の
正しい食事マナーとは、
- 出された汁物、これは全部いただきましょうね。
汁物をお土産に持って帰ろうと思っては絶対にだめ。
あついものはあついうちにいただくに限ります。
リメンバー、最後に渡されるものは空の折り箱のみ。
折り箱にどうやって汁物を収納するんですかい。
- おつくり、早い話が刺身、これは全部いただきましょう。
つまりは、なまのもので鮮度が勝負、のものが出たら直ぐに
いただきなしょう。リメンバー、サルモネラ。ばい菌ですわ。
兎に角、刺身だけは絶対にその場で食べてしまってね。
- タイ・鯛、これだけは必ずお土産用に残しておきましょう。
あまりに美味しそうな鯛なら食べてもよろしい。
がしかし、腹をすかしてあなたの帰りを待っている
あなたの家族に、
ありゃ?鯛がないぞ。
などと言われた場合にキチンとすかさず言い訳をご用意して
本番では鯛をたいらげる事ですね。
鯛とは限りません。例えば蟹一匹、豪華ですね、言う事ないですね、
このような一点豪華の土産さえあれば宗和流本膳はすべて解決です。
- 時間を気にせぬ事。半日の宴会はザラです。
同窓会、正月、お盆、報恩講(ほんこさま)、
これらは全て一日仕事と覚悟なさいませ。
お昼から始まったら夕方まで、
夕方から始まったら深夜まで、
これが飛騨の宗和流本膳でしょうねえ。
付記 本稿は宗和流本膳の民俗学です。
くれぐれも誤解なさいませんように。
宗和流本膳そのものについては洲さきの女将にお聞きなさいませ。
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