大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

さんけねこ(=みけねこ三毛猫)

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私:三毛猫とは毛の色が白・黒・茶の三色から来ている名前だが、飛騨方言では、さんけねこ、という。三毛猫を単にミケという事があるのと同様に、飛騨方言では、さんけ、と呼ぶ事もある。ミケ、は古くは犬にも用いられた。和語とはいい難し。浮世草子や江戸文学には出てくる。古典落語にも。
君:要するに共通語では訓読みなのに飛騨方言では音読みなのね。これって飛騨の俚言かしら。
私:ははは、全国共通方言だよ。北海道、岩手、宮城、秋田、山形、富山、・・。どうやら孤立発生説で説明できそう。
君:どうして?
私:古代の日本語、つまり和語、には方言がない。全国的に、やま・かは・うみ、の意味は変わらないし、方言もない。そもそもが日本人は古代には文字を持たなかったので、言語は口承されたもの。ところが中国から漢字が伝わり、文字文化が誕生した。ミケもそんな経緯で生まれた言葉だ。
君:書き言葉ミケが話し言葉サンケに化けてしまった、というところがポイントね。
私:うん。珍しい毛の猫がいて、三毛との記載があった。それを民衆が読み違えて、サンケ、というように話しだして、サンケ、という音韻が独り歩きしだしたという事。
君:なるほど。他にも例がありそうね。
私:私は白い大型オートバイに乗るが、それを見たお袋が、はくばい、と言った事がある。白バイの意味で使ったんだよ。
君:ほほほ、大西村では白バイは見かけられないわね。
私:うん。それどころがパトカーもいない。駐在所もない。平和な村だ。お袋は新聞で読んだ白バイという言葉を、はくばい、と発音するのかと勘違いしていたという事。
君:テレビの時代なのに、それは珍しい事ね。ほほほ

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