例えば、おおきいね、と言う場合の、ね、ですが、確認を表す終助詞という記載もあり、
はたまた、うわっおおきいねえ、とも言いますから感動詞であるとの記載もあり、
そもそも素性、つまりは品詞がはっきりしない言葉のようです。
ただし、語源は、ぬ、によるとの記載が多いように思います。
さて本稿では、共通語・ね、は終助詞であるとして以下に議論します。
そして、この共通語終助詞・ね、に相当する飛騨方言の終助詞ですが、おそらく、な、が相当するでしょう。
飛騨方言では決しておおきいね、とは言いません。おおきいな、です。
飛騨方言では決して、うわっおおきいね(え)、とは言いません。うわっおおきいな(あ)、です。
さて、共通語終助詞・ね、では接続に関して、以下の如く性別が判別されます。
(1)助動詞・だ、あるいは形容動詞に接続する場合は男性、 例 いくのだね そうだね
(2)形容動詞語幹に接続する場合は女性、 例 とてもきれいね
(3)形容詞終止形に接続する場合は男性、 例 とても安いね
(4)体言に接続する場合は女性、 例 これは百円ね 安いわ
そして飛騨方言ですが、助動詞・だ、に相当するのが、飛騨方言助動詞・や、です。
更には、飛騨方言での文法ですが、
(1)助動詞・だ、あるいは形容動詞に接続する場合は両性、 例 いくのやな そうやな
(2)形容動詞語幹に接続する事は不可、 例 とてもきれいな は不可
(3)形容詞終止形に接続する場合は両性、 例 とても安いな
(4)体言に接続する事は場合は両性、 例 これは百円な (安いな)
もうおわかりでしょう。
実は、冒頭にあります"共通語終助詞・ね、に相当する飛騨方言の終助詞ですが、
おそらく、な、が相当する" というのはどうも間違いでしょうか。つまりは本稿のテーマですが、
国文法ではひとつの終助詞、たとえば終助詞・ね、では接続に関して、性別が判別されますが、
飛騨方言における文法ではその規則が全く当てはまりません。
このような点から極論しますと、現代日本語と飛騨方言は別言語という事になります。
あるいはこうも考えられます。
なんらかの終助詞を使い分けて一文全体の男性格及び女性格を定義している事は
国文法も飛騨方言の文法もなんら変わりません。
飛騨方言では別終助詞系統である、やぞ(男性格)、と、えな(女性格)、です。
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