大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言における三系統(ぞ、ぞえな・ぞな・ぜな、えな)の終助詞の文法比較

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飛騨方言における終助詞には、男性格の格助詞・ぞ、女性格の格助詞・えな、 及び両性格の格助詞・ぞえな、ぞな、ぜな、がある事を別稿に記載しています。 本稿ではこれら全てのまとめとして若干の機能別の文法比較をします。 尚、老婆心ながら、下の表には紙面の都合上、省いていますが、 これら助詞全てに共通して一致する項目は多々ありました。
              ぞ  ぞえな えな
                 ぞな
項目               ぜな
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性別            男性 両性  女性
語感            粗忽 柔和  柔和
語源            ぞえ ぞえ  不明
推量の助動詞・う、の接続  不可 不可  可
推量の助動詞・よう、の接続 不可 不可  可
指定の助動詞・です、の接続 不可 可   可
丁寧の助動詞・ます、の接続 不可 可   可
語中のアクセント      ぞ  不定  え

間投助詞の用法       不可 不可  可
感動詞・な、の後続接続   可  不可  不可
文中の用法         可  不可  可
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上記の表をみますと、いくつか重要な事項が思い浮かべられます。例えば、、

★男性が、ぞえな、ぞな、ぜな、を用いれば、所謂、ですます調で話す事が可能です。
★がしかし、男性が、ぞ、を用いる限りは、必然的に、だ調(実は飛騨方言では、や調)でしか話す事ができません。
★女性は、ぞえな、ぞな、ぜな、えな、を自由に用いて、ですます調で話す事が可能です。
★女性は、ぞえな、ぞな、ぜな、えな、を自由に用いて、だ調(実は飛騨方言では、や調)で話す事も可能です。
★助動詞の接続則は、ぞ、と えな、は相反し、(ぞえな、ぞな、ぜな)群はその中間である。
★ただひとり、助詞・えな、は助動詞の接続則が他の助詞と異なり、 また、間投助詞の用法もが存在する。
★つまりは、助詞・えな、は他の助詞と同根では有り得ないと考えられる。
★(ぞえな、ぞな、ぜな)の終助詞群は感動詞・な(あ)、との接続が不可であるので、文字通り必ず 文末になる。つまりは文中になる事は不可。
★またその裏返しで、ぞ、と、えな、の両助詞は文中になる事がある。

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