飛騨方言でも男性は、行きますよ、という意味で、行くぞ、といいますので、
終助詞・ぞ、の接続、要は用法、について共通語と差異があろうはずもないと
考えらやすいのではないかと思います。がしかし、接続を詳しく検討しますと、
共通語助詞・ぞ、と、飛騨方言助詞・ぞ、に差異が見られ、別文法、つまりは別言語という
結論のようです。
用法 共通語例 飛騨方言での接続
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
終助詞の用法
動詞終止形に接続 行くぞ 可能、同じ
形容詞終止形に接続 熱いぞ 可能、同じ
助動詞・だ終止形に接続 熱いんだぞ 可能、熱いんやぞ
女性格終助詞に接続 不可 可能、
いくぞえな(いくぜな)
感動詞・な、なあ後続 そうだぞな 可能、そうやぞな
助動詞・ない、との直結 行かないぞ 不自然ゆえ不可
助動詞・ない
+接続助詞・の
+同・だ、に接続 行かないんだぞ 可能、行かないんやぞ
助動詞・ぬ、との直結 行かんぞ 可能、同じ
助動詞・ぬ
+接続助詞・の
+同・だ、に接続 行かんのだぞ 可能、行かんのやぞ
副助詞の用法 どこぞへ 可能、同じ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
飛騨出身の皆様へ、普段なにげなく口にし、聞いている飛騨方言ですが、
文法的には以上の表のようになるのですね。私自身、いつも原稿を
書きながら、ふうん、そうかあ、と思っていますが、ご批判たまわれば。
ところが女性格終助詞を未然形に接続させて女性言葉に変換するといっても
実はトリックというわけです。ぞ、と言う言葉の語源が、ぞえ、ですので、
これに、な、を足して、"ぞえな"というひとつの言葉が女性格の終助詞と考えるほうが
正しいのでしょう。つまりは、そもそも男言葉に何かを足して女言葉になるわけがないでしょう、、、
用法 共通語例 飛騨方言での接続
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
女性格終助詞の接続 不可 不可、行くんやぞぞえな、は不可
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
と書くべきじゃないか、というご批判が必ずやありましょう。ご免なさい!!