大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言における慣用表現・動詞連用形+ようる(ょうる)

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飛騨方言には、動詞連用形+ようる(ょうる)、という独特の言い回しがあります。 例えば、書きょうる、ですが、今まさに書いているところです、という意味で、英語の現在進行形にあたります。

この言い回しの由来は、動詞連用形+寄る(自四)、ということでしょう。 古文のにわか勉強ですが、寄るとは、気持ちが傾く、その気になっている、という意味のようです。これが飛騨方言では 意味が転じて、実際にその行動を行っている、その気十分である、という意味で使用されるようになったのでしょうか。

また例えがよくありませんが、避けて通れないのが、死ぬ、という動詞の場合です。例えば、飼っている小鳥が死ぬ、という文ですが、 生あるものは必ず死ぬだろうという事で、小鳥が死ぬ、という文は実は将来に生がなくなるであろうこと、未来の状態のことを指し示す言葉といえます。 そして、小鳥が死んだ、といえば過去形になりますので、死ぬ、という動詞には、そもそも現在形の意味がない、とも極論できます。 ただし、飛騨方言で、小鳥が死にょうる、といえば、今まさに小鳥が死につつあります、という現在形の意味になるという次第です。
鳥のまさに死なんとするや、その鳴き声やかなし
( = 鳥ゃまさに死にょうりゃ、その鳴き声ぁかなしいながいな )

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