飛騨方言に、形容動詞の語幹+ななあ、の言い回しがあります。
意味は、〜だなあ・〜やなあ・〜な事だなあ、になります。
語末二拍の、なあ、は詠嘆、確認、同情、等々の意味になりましょう。
ややくだけた言い方になり、夫婦間、友達、兄弟、目下、
に話すには問題ないでしょう。
否、むしろ、〜ななあ、と言わないと余所余所しい言い方に
なってしまいます。
一見しては、全ての体言に接続できるわけではなく、
やはり、形容動詞終止形の言い回しのひとつ、と言う事になりましょうね。
おそらくはナリ活用の語変化したもの( 大変なる+なあ>大変ななあ )でしょう。
例文ですが、
社長さんも、気遣いばっかで、
大変ななあ。(大変ですね)
(他所の奥様にむかって)
そこのごてぁ入院したって、
心配ななあ。ためらってくりょよ。
(あなたの旦那さんが入院されたそうで、
あなたもご心配な事ですね。
どうかお大事にしてください。)
(野菜を見て)
あーれ、ええ色しとる。新鮮ななあ。
(あらら、いい色しているわ、新鮮ね。)
心配だ、の文例は異論もありましょうね。
助詞・を、を文例に接続して意味が通れば名詞であり、
形容動詞の語幹ではありません。
大変を、新鮮を、とは言いません。
心配をかける、と言いますので、心配は実は名詞です。
勿論、文例は飛騨方言のセンスにあっています。
ですから結論としては実は、形容動詞終止形、のみならず広く、体言+だ、
の別の語法という事になりましょう。