タイトルは思いっきりかっこよく、というか、少し難しい感じで、
実は内容はあまり無いよう、といういつものお話で御免なさい。
飛騨方言では、せならん・しならん、と言いますね。
しなくてはだめだ、という意味です。
これが実は二重否定の表現である事を、うーむ、
どれだけの飛騨人が意識して使ってお見えでしょうか。
他ならぬ私が普段、意識して使っていません。
実は私は本来の生業があって、仕事の息抜きに
つまりは活力を復活させるために飛騨方言の物書きをしているのですが、
ついつい出てくる独り言が、
おう時間が過ぎてまって、やっぱ仕事せならんぞ。
というわけ。
この文章が何故、二重否定なのかというと、
別稿・飛騨方言におけるサ行変格活用(サ変)未然形の特殊な接続・しな
に記載したとおりです。
せならん、とは畢竟、しないわけにはならぬ、と言う意味ですから、
せならん、という句は、せ+ならん、に分解出来ます。
さらにはこの一語・せ、の元の言葉は
せぬにや、ですよね。
つまり、せならん、とは、せぬにや+ならぬ,という事です。
そして撥音便で話せば、せんにゃならん、というわけです。
ところがこの撥音便すら省略して、せならん・しならん、
という言葉になってしまうと、
元々は二重否定の表現であるが、それがわかりづらい、という飛騨方言です。
おまけ
飛騨方言の、どもならん●○○○○、という言葉。どうにもならぬ、という
意味である事は書かずもがな、これは上記の議論の続きですが、一重否定
の表現ですね。一重否定だから飛騨出身以外の方にもとっさに理解していただける
のではないでしょうか。どうもならぬ、と言えば共通語、せ・ぬ・に・や・ならぬ●○○○○○○、
と言えばかつての共通語・古語、というわけです。
つまりは第一拍がアクセントの核です。最重要メッセージというわけですね。
しゃみしゃっきり。
もっともねえ、このような文法談義を重箱の隅をつっつく、
と言うのでしょうか。
実は文法など知らずとも会話は十分可能です。
要はトピックス、相手の聞く興味とこちらが話したい興味が合致すれば
文法談義など無用、十分に意思の疎通が出来ますものね。
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