大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言における指示代名詞の短呼化(2)

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飛騨方言の、こそあど言葉、のうち、 別稿に、これだけ、は、こだけ、と言い 富山との共通方言である事を記載しました。 さて、こう・ああ・そう・どう、についても 飛騨方言では短呼化する場合が多いでしょうね。 例えば、
そしゃそやぞ。
 =そうせやそうやぞ。
ではそうしよう、という意味の慣用句ですが、 短呼化せずに話される事はまずないでしょう。

どもならん・どむならん、などとよく言いますが、 どうにもならぬ、という意味です。 しかも頭高五拍のアクセントです。 つまりは、こそあど一拍は飛騨方言では 必ずアクセント核があるのです。 そしゃそやぞ▼○▼○●、というわけですね。 例えば、売り買いの会話ですが、
売り手 どやな?▼○▼ いかがでしょう?
買い手 そやな ▼○○ ふーむ、そうねえ
買い手 こやな ▼○○ (おまけを商品にのせて)
            これなら買うよ。
ところが、これだけ、の意味、で、こだけ○●●、 のアクセントです。つまり、こ、にアクセント核が ないのです。
売り手 どだけやな?○●●●● どれだけご入用ですか?
買い手   そだけや○●▼○  それだけでいいよ
売り手 こたげやな?○●●●● はい、これだけですね。
また面白い事に飛騨方言では、
どだけもない▼○○○○○ どれほどもない。
どだけ▼○○、という言い回しが、どれっぽっち、 という意味の固有アクセントの独立語になる事も ありますねえ。 切が無いのでこのへんで。

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