都会の喧騒にのまれていますと嫌がおうにも、いろんな会話が飛び込んできます。
昨日の出来事ですが、めそめそと泣いている少年を家族が皆で慰めています。
見てはいけないと思いつつ、言葉が聞こえてしまいます。
"きっと受かっている、心配するな。"、と少年を囲む家族の声。
私は、ああ私立中学の入試が本日あったのだな、と察しました。
少年はこの日に備えて塾に何年もコツコツと通ったのでしょうが、
いざ本番で実力が発揮できず、若しや不合格かと不安におののいているのです。
山本有三という小説家がいます。路傍の石という小説を書いています。
粗筋が少し映画・路傍の石
に書かれています。
そして句意ですが、路傍の石の主人公・愛川吾一のつぶやき、飛騨方言形容詞・けなるいに集約されます。
うらやましいという意味です。季語は入試で二月です。
氏の人生は丁稚奉公から始まります。苦学して東大文科を卒業され、
日本を代表する小説家となられた氏は後に、吾一は実は私自身である、と寄稿しておみえです。
実は私は幼稚園を出ていません。というよりは実は村には幼稚園がそもそもなかった。
幼稚園受験がけなるい佐七、という訳です。
さて私立中学の受験に失敗しても悲観する必要はありません。
私のように公立に進んで、思う存分勉強してください。
私は公立の小学、公立の中学、公立高校、と進みましたが、
この長きに渡り繰り返しこの私小説を読んできました。
そのおかげで何とか勉強を続ける事が出来たように思います。
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