不肖佐七辞書・まちょうの
通りですが、語源は不明です。
別稿・町衆(まちしゅう、まちしゅ)
をご参考までに。
ところがさて、日葡辞書にたった一言、Matena 正直で律義な(人)、
の記載があり、賢明な読者はすぐにお気づきくださいましょう、
飛騨方言・まちょう、の語源は安土桃山期・まて、に
由来する可能性があるようです。
さらには物類称呼(越谷出俳諧師吾山(1717‐1787)、安永4(1775)年)に
律義なる人を中国にてまてな人と云 畿内及東国にてまたうどと云
案にまてな人又またうど共に全人(まつたきひと)と云事也
万葉ニ全手(まて)と有は左右の手の事にて諸手(まて)とも
書よし 同キ抄に見えたり これは別なり
の記載がありました。
吾山の語義の記載は飛騨方言・まちょう、に一致します。
問題が幾つか考えられますが、
▼東国でもまたうどと言った安永年間に飛騨でもまてな・またうど、と言ったのか
▼飛騨方言の音韻体系では、
まてな>まちょうな、という変化が三世紀の間に生じ得るか(まちょう、の音韻変化)、
▼まちょう、が和歌山県田辺市龍神村の方言に合致するのはなぜ、
▼飛騨方言に全人が無いのはなぜ、
という事です。
飛騨方言・まちょう、の語源は全手(まて)が第一候補でしょう。
蛇足ながら古語辞典では、まてなり(形動ナリ、田植え歌・〜なる顔のうたひ出し、重行)、の
語に着目されるとよいでしょう。
cfまて(生真面目)
|