大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

ネー・エー・ホシー

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私:表題だが、どう思う?
君:意味不明。
私:確かに。つい先ほど勝手に考えた言葉だ。でもヒントからなんとか思いついていただけないかな。ヒントは飛騨方言、形容詞。
君:ない無、よい良、ほしい欲。つまり補助形容詞ね。
私:そう。その補助形容詞なる文法用語だが、実は習った覚えが無い。忘れてしまっただけの事かも知れないが。ネットで検索すると、中学国語で教える内容のようだ。例えば形容詞とはとか公立高校入試(国語)における文法問題の傾向とか。
君:文部科学省『中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説』ね。
私:つまり最近。道理で。
君:飛騨方言の音韻変化で、ナイ/ネー・ヨイ/エーについてはお書きする事も無いわね。
私:そうだね。飛騨方言「たいてでない大抵無」、意味は「なかなか大変な事だ」、これは補助形容詞だろう。補助形容詞の見分け方は、直前に、「く」「で」「て」「は」「も」などがあるかどうかがポイント、との勇気ある発言がある。「ワニは哺乳類でない」、これって補助形容詞なのか。少し違和感を覚えるね。
君:「く」は形容詞連用形、「で」「て」「は」「も」は助詞群ね。格助詞、接続助詞。
私:ついでながら補助動詞の概念もあり、補助動詞と補助形容詞を合わせて補助用言という。ところで、日本語文法学会編・大修館「日本語文法事典」には、・・現代語の補助形容詞は「ない」一語である・・との記載が。例文としては、大きくない、有名でない、何も書いてない。これって忖度?
君:誰に?
私:橋本進吉だ。そりゃもう、有名な学者さんだからね。橋本進吉著新文典別記・上級用(1935)四篇「口語では『ある』の打消は『あらぬ』とも『あらない』ともいはず、別の形容詞『ない』を用ひますから、補助動詞の場合も亦打消には補助形容詞『ない』を用ひます」。補助用言の概念の始まり。岩淵悦太郎の労により戦後に学校文法となった。但し批判も多く、中学生なりに一生懸命勉強しているのであろうが、そもそも補助形容詞とは何かというネットでのQ&Aも多い。左七は利口でない。よくわからない。これも親父ギャグ。
君:わかっている事だけをお話しになって。
私:「ない」は不思議な形容詞。形容詞としての対義語が無い。有るのは動詞「有る」、親父ギャグ。これは口語も文語も変わらない。
君:「良い・悪い」の語誌は?
私:よし・あし、共に記歌謡と万葉、つまりは上代語で対。ところがね「ない」と「よい」は不思議な同類項なんだよ。
君:補助形容詞であるという以外に、という意味ね。
私:「そうだ」が付く場合、「なさそうだ・よさそうだ」という事で、必ず「さ」が入るんだよ。
君:あら、そうね。「そうだ」の語誌って何だっけ?
私:助動詞特別活用(特活)「さうだ」は中世以降の言葉だ。語源となると形式名詞「さう」に指定の助動詞が接したもの。更には「さう」は「さま様」の転という説、あるいは「さう相」の字音によるという説、ふたつがある。つまりはっきりしない。おいしさ、と言えば、おいしい事の意味。つまりは「なさ」は無い事、「よさ」は良い事、ここまでは良し。「おいしそうだ」というのだから「なそうだ・よそうだ」でもいいような気がするんだけどね。どうして「さ」が入っちゃうんだろう?
君:小学生が知っている二文字の形容詞は「濃い」「無い」「良い」の三つだけよ。中学生ともなると「うい愛」「うい憂」が加わって五つにならなきゃね。
私:ワオ!激レアなんだ。良い子の国語教室。エーコの国語教室だ。つまりは「さ」が付くのは二拍だから。なあんだ、そんな事だったのか。日本語における最小語条件だね。
君:ほほほ、そうよ。ところで、私はエーコ、そして左七君は悪丁稚(わるでっち)でしょ。ほほほ

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