大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 音韻学

プロソディ(prosody・韻律)

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私:この二、三日ほど、アクセントの記事を少し書いたが、要は重箱の隅を突っつくような話だ。今日はもっとザクッと大きなお話にしよう。プロソディ(prosody・韻律)について。国語学というよりは言語学、言語処理の工学系の専門用語。日本語の文法書にもよく記載されている。
君:自然な言語を話す為の、“音の上げ下げ・区切る位置・長さや強弱”など、言語の音の特徴を表す総称、という事ね。以上、ネットのコピペ。
私:うん。母音や子音が連続した時に生じる音声現象の中で、特にアクセント、リズム、イントネーション、ポーズなどの現象を総称した用語だ。
君:人の会話は単なる棒読みではなく、微妙な音韻変化があって感情をともなうもの、これら微妙な音韻変化の総称というわけね。
私:その通り。東京語では、飴・雨、をアクセントで区別するが、アクセントには同音異義語を区別するという意義がある。プロソディとしては最小の単位といってもいいね。「すもももももももものうち」という文節もアクセント、リズムが有る事により、「李も、桃も、桃のうち」という意味であると解釈できる。プロソディの存在により会話が成立する。文法だけでは会話は成立しないんだ。
君:人間学という言葉があるとすれば、ヒトは人間である事により、そのような事は自明の理として理解しているから、つまらない議論だわ。
私:そう来るだろうと思った。以上が前置きだ。ところで質問、乳児ですら自在にプロソディを使いこなして会話をしている。そんな彼らのプロソディは何処にあるのだろう。
君:年齢を問わず人の心の中よ。
私:その通り。では人の心は何処にある?
君:小学生でも知っているわ。大脳よ。
私:そう。ではプロソディは大脳の何処にある?
君:脳全体かしら。
私:とんでもない。人がものを見えるのは後頭葉があるから。人が音を聞けるのは側頭葉があるから。つまりは大脳皮質は見事に機能が局在しているんだ。特に、左角回 (ブロードマンの39野) と左縁上回 (ブロードマンの40野) は語彙や意味処理に関連付けられ、音声情報と語彙意味情報との統合を担う。
君:つまり人の大脳は左右対称だけれど、使っているのは左大脳半球だけという意味かしら。
私:正にその通り。
君:にわかには信じられないけれど、若しかして同じ情報が右大脳半球にもあってバックアップ機能を果たしているのかしら。
私:いや、それも違う。人は左大脳半球の左角回を失っても、左縁上回を失っても、二度と話せなくなるんだ。
君:では右大脳半球は何をしているの?
私:プロソディだ。それだけじゃない。談話 (discourse) の処理、ユーモアや皮肉、比喩の理解などに関しては右半球の複数の領域が関わっている。つまりは左大脳半球は言語のエンジンのようなもので、そして右大脳半球は言語に高度な味付けをする機能を有する。和田試験というものがある。左右どちらかの頸動脈に超短半減期の麻酔薬・アモバルビタールを注射して、人の脳の半分だけを短期間だけ眠らせる事ができる。ただし脳が半分眠っても被検者は起きている。この間の被検者の言語能力を検査する事により、大脳の生理学が解き明かされるようになった。最近では脳MRIの画像診断で、脳機能の局在があれこれ解明されるようになった。
君:そんなあなたの脳が見たいわ。
私:やめてくださいな。寝ても覚めても好きな人の事ばかり考えているのだから。
君:やめておいたほうがよさそうね。ほほほ

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