大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 心の旅路

飛騨の、のらまいカー、と豊田市の、おいでんバス

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飛騨方言で、のらまいか、といえば、乗りましょう、というお誘いの言葉になりますが、これにひっかけて、高山市が運営する乗り合いバスに愛称として、のらまいカー、と名づけていらっしゃるようですね。と忘れでいけませんが、公募で決まったのではなかったでしょうか。

さて、先週に愛知県の豊田市にバイクでぶらりと散歩に出かけましたが、そこで、おいでんバス、と書かれた公営バスを見かけました。豊田市といっても、車の町・豊田ではなく、奥三河の山間部、山間の村・稲武です。かつては東加茂郡と言われていた地方なのですが、平成の大合併で寄らば大樹の陰という事で、この地方は悉く豊田市に合併してしまったようです。

おいでん、とは、おいでんさい、つまりは、おいでなさい、が詰まった言葉である事は書かずもがな。おいでん、だけでも通ずるという事ですね。例えば、やりなさい、という意味で、かつては、やりんさい、と言われていたのですが、現在では、やりん、でも通ずるという事でしょう。書きなさい、という意味て、かきん、などと言っても通ずるのではないでしょうか。

乗り合いバスというのは、田舎にとっては生活の足という以上に、文明・文化・地域の統合の象徴という事で、バスを親しみある方言のあだ名で呼ぶという事に微笑ましいものを感じます。

方言学にお詳しい方には書くまでもない事ですが、、おいでんさい、という言葉は濃尾平野では人気ナンバーワンの方言なのです。おいでん祭、という名前の祭りが幾つかある事も書かずもがな。おいでんバス、という名前が生まれたのは必然とも言えます。

さて、美濃地方では、おいでんさい、ですが、飛騨地方では、と言えば、きんさい、ですね。きなさい、の撥音便ですが、由緒ある飛騨方言の言い回しとはいえ、最近はあまり、というかほとんど使われないでしょうね。飛騨方言では
四段 書く かきんさい
上一 切る きりんさい
下一 蹴る けりんさい
カ変 来る きんさい
サ変 する しんさい
になりますが。

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