18 楽しかった篠島よ ありがとう



「あの娘と雷」

ピカ・・・ゴロゴロ雷が鳴る
大粒(おおつぶ)の雨が()ってきた

思い出す随分前のことだけど
君とデートしていたとき
強い雷にあいましたね

僕が雷は怖くないかいと聞いたら
「ちっとも怖くなんかないわ」
そう言ったね
でも
僕にはわかっていたよ
一寸強がり言っていた君

僕はそっと抱きしめ
雷から君を守って居たかった
だけど
僕にその勇気がなかったよ
今ここに君が居たなら
君を抱きしめ
守る勇気があるのに

今日の雷
一寸強気の
君を思い出させてくれた




「その人の名は」

その人の名は
大木に在らず小さく()らず
菊のように可憐(かれん)であって
心優しく爽やかな風を思わし
だれかの心を陶酔(とうすい)させる香りあり

だれかの胸に鈴の音を聞くように
チリリン チリリン
チリリンリン
静かに深く響きます

その人の名は美知子さん
君と居るときが一番楽しい
君との世界が欲しい
だけどそれができない

さびしくって悲しくって泣けてくる
声をあげて泣くわけではないよ
この俺が弱虫だから
この俺が頼りないから
だから泣けてくる

君と浜辺を歩き
山を駆け巡る
二人だけの愛の日よ
早くおいでよ 二人の日
ほらごらん
青い空が青い海が
僕らを呼んでいる



「ネオンと俺」

ネオンよ 君は今とても美しい
ネオンよ 君は今とても忙しい
ネオンよ 君は何でも教えてくれる

だけどネオンよ
君は夜だけだね
昼あったとき 君は休んでいた

君はよく知っている
昼は君に 勝るものがあることを
君は知恵ものだ
夜が来るまで待っている
昼に君がそこにいても
誰も知るまい

だけど夜になると
道行く人は君を知っている
夜にだけ働く君
与えられた時間に
精一杯に働く君

ネオンよ 其れでいい
だがネオンよ 世の中は広い
俺のように昼も夜も働きたいと言う
ばか者もいる

所詮(しょせん)はできぬものを なー
笑ってくれ・・・・・
ハハハハハハハハ・・・・・



「リング」

僕は君のレフトハンドに
輝くリングを着けたい
心のこもったリングだよ
将来
ともに白髪(しらが)の生えるまで
君を幸せにする
特約付のリングです

君が着けるから可愛(かわい)いし
よく似合う
ぜったい
ほかの人には合わないリング

僕は夜も眠らず
想っている

何時しか
君のハンドには
特約リングが光っている
僕はウエディング姿の
美しい君の手をとって
ウエディングマーチに乗っている

いまだ見ぬ
輝かしい未来に向かって
歩き始めた夢を見た



「雨の中の枯れ木」

雨が降る
悲しみを積み重ねるかのように
雨が降る

これから歩く路に
苦しみあえぐように雨が降る
僕の心は枯れ木のようで元気がない
原野(げんや)に育ったようなあの娘は
素直にわだかまりなく
はつらつとしている

二人が付き合い始めてから
一日経るたびに僕はあの娘の
枝を一本また一本と折り
枯れ木と化してしまう気がする

会えばうれしく
ゆえに余計悲しい
なぜだろう
こんなことを言えば
あの娘は涙する
だが 涙を見せないでおくれ
僕も苦しい
こんな僕とわかっていても
君を愛している

出来るなら
二本の木になって
人はどういおうと末の世まで
信じあえる木になりたい
涙の雨を見せず
いつも晴れた空を見ていたい



「結婚を考えてない君」

あの娘の(うた)を心に刻み
あの娘の胸に聞いてみた
この愛がこの恋が
何故に、そんなに悲しいの・・?
聞いている、僕も悲しい
清く、美しい、あの娘を
涙で暗くさせるなんて・・・
この僕には出来っこないさ
いつも思っている

だけど
あの娘に会うとどうしても
悲しませてしまいそう
あまりにも
あの娘が好きだから


「高原の二人」

高原を歩いた二人
震える手と手を取り合って
いつかはしっかり握り合っていた

どこからともなく
小鳥のさえずりが聞こえ
胸にしみこむような草の匂いがする
足の疲れも忘れて歩きに歩いた
草を()む野放しの牛はのんびりと
僕ら二人を眺めていた
それは心休まる二人の一日でした

ビルの林の雑踏(ざっとう)にいると
今も二人だけの一日を思い出す
目を閉じると
ほら 聞こえてくるでしょう
小鳥の声が
静かな風の(ささや)きが
二人が手をつないだときの
君の手の感触を思い出す



(うら)みの電話機によせて」

今日こそは
君に冷たくしてやろうと
思っていたのに僕の心がすぐ解ける
君 素敵だよ
ホワイトイヤリングが良く似合う
今日こそは
徹底的にすねてやれと思っていたのに
僕の心がすぐ解ける
君の真心(まごころ)の おみやげに
そんな 優しい君だから
今日こそは久し振りにお話を
思っていたのに
二人の時間が作れない
今日も駄目かと時間を聞けば
つれない素振り見せる君
電話も話もできないで
刈谷から今日も早く帰って来た
君を見送り
一人奇跡を待っている
君からの電話を待っている
アーア 寂しいなー
アパートに住みたいなー



「思い出となって」

君はある日
白い歯をほころばせて
幼子(おさなご)をあやしていた
そのとき初めて君と語り合い
なぜか心が高鳴りました
来る日も来る日も
君との再会を待ちました
あの日の君を思い
楽しい場所を思い出す
そんな日々が続いたけど
ついには君を
忘れようとして努力しました
幾年か過ぎ
遠い昔を思い出す
姉さんの子供をあやしていた君を
思い出す
いろんな人を思い出す
中でも鮮明に
あのときの君を思い出す
どうしているのだろう
僕は
懐かしく君を思っていた



「篠島の一日」

明日の天気はと 見上げる僕
いつもの場所でと 帰る君
寝る前 神に祈りつつ 朝も早よから 空を見る
走る電車の 速いこと
あっという間に 河和駅 久し振りの船旅
君と一緒の旅 なぜか心が楽しくて
いてもたっても いられない
君の水着の その姿
海の香りする松林の 小笹の中
いとも可憐に目に()える
空を 海を見よ 雲も遠のき
青い空と澄み切った空を
僕ら二人にプレゼント
君がくしゃみを始めていた 
海水を 飲んだって
そりゃ君 塩辛いだろう
泳いでは休み 休んでは泳ぐ君
そして砂浜に寝そべる君
屈託のない 優しく美しい君
そのまぶしい身体を
そっと抱きしめたい
そんな君がそこにいた
楽しかった篠島よありがとう
汽笛にせかされ船は出る
又来る日までさようなら



「悲しくも無いのに」

今日の夜の寂しさに
悲しくも無いのに
涙が出てくる
君の心がつかめない
君の思いが悟れない
そんな寂しさが
誰となく涙をさそう
涙が出たって
悲しいわけじゃない
声を出して泣くわけじゃない
だけど
涙は出てくる
暗い空を見上げると
涙はにじみ一粒二粒 頬を伝って
落ちて来る
君はそれほど 俺の心の中に居た
君なしでは 考える事すら出来ない
だから涙は出て来る
今日も一日
苦しさ寂しさに耐えた
明日も持ちこたえよう
何時の日か
君の心が定着するまで



「不思議」

あら不思議
君と僕のデートの時は
必ずお天気よくなった
共に行いがよかったから?
今日は二人が会えない日
どうだろう
空を見てごらん
雨が
落ちてくるではないか
二人の
心を知ってか知らず
お空の様子も変わります




 「モーレツな愛」

 あまりにも
君の愛が強すぎて
あの娘の側を
かすっていった
帰るさやをも
忘れてしまい
行き着くすべも
知らぬ君
明日から
どうして生きるのか
それすら君は忘れている



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