9 互いに高慢を張り合い

「愛の語り合い」

ただいま・・・・お帰り
随分早いのね、疲れたでしょ
今日は、とても暑かったから
何しろ、名古屋市ね
三四度なのよ

そういえば、刈谷市内で
三二度あったよ
とにかく暑いのに
君も一日頑張ったね
こんな会話を夢見ている

社内の人に気づかれないよう
知らない素振りをする二人

分かりすぎるほど分かるよ、
君の気持ちが
君のひとみは、静かにやさしく
お帰りなさい、と、話しかけていたね
疲れているみたい
大丈夫?
君こそ大丈夫だった?
(かく)すにも隠し切れない笑顔と動きに

「愛の叫び」

愛している・・・・
叫びたいのにこの胸は
なぜに風に(ささや)くの

なぜに囁くせせらぎに
何もいわない 風と水だけど

いつか山彦が
返ってくるようで

風に吹き消され
 水に流されようとも

いつまでも叫び続けている

寂しくなって
涙が出てきそうだけど
いつか 愛していると
山彦が返って来るのを
待って居るのです

愛によって生まれるもの」

愛することの苦しさは
愛される事によってますものであり
又、それ(ゆえ)、楽しさも増し
希望も失望も()いて来る

生きる事は死よりも難しい
なぜならば
愛される事によって
嬉しくもなり苦しくもあり

相手を鏡として
自分をみつめ直して
いかなければならない

何時しか、優しさ 哀れみを覚え
それらの中に 希望を求める
夢を追って
互いに高慢(こうまん)を張りあい
その姿を一つ一つさらして
行かなければならない

時にはいやな奴だと思い
争い戦いながら
身体の一部と化して行く
その苦しみに希望を抱き
あげくに失望の音楽を(かな)でる

だから愛とは
はかり知れない闇の中に光を求めて
歩いて行くようなもの
だから互いの・・・と言いたい
今に判るさ・・・愛とは・・・。

「我が心の君」

あの日から
幾日過ぎただろうか

自分の気持ちを押しこらえ
過ぎてきたが
君の面影が一日一日
過ぎていくごとに
忘れそうで

僕の心は君の姿を(きざ)もうとする
思えば思うほど
君への思いが増すばかり
どうすることもできない

今にでも君のところへ飛んでいって
僕の気持ちを伝えたい
君との楽しい生活がしたいのです

「好きと嫌いじゃない」

好きと嫌いじゃない は別  ???
君は言った

あるとき 恐れおののいていた僕
歯を食いしばって泣いた僕
運命とあきらめかけた僕

ある日 好きと言う字を拾った僕
確かに君はあの時 「好きよ」といった
だが 安心するのはまだ早い
「好きだけど 結婚するのはまだ早い」

結婚なんて考えてないという
僕のこと嫌いかいと問えば
嫌いじゃないという ???

空をみよ
曇りがあれば晴れもある
雨が降れば雪も降る
常に月日を重ねている

どうする 拾った好きと言う字を
僕は心の金庫にしまいこみ
大切に保管し続けるのだろう

そうです
雨の中でも
嵐の中でも
守り通して
美しい花が咲くのを
待つのです

「若さと思いやり」

若さがある君の笑顔に
空を見上げるその顔に

健康をあらわす飛び出したニキビ

君の時代を見る
暑いときは滝のような汗をかき
寒い秋風が吹いてくれば
「自分の季節と」かぜを受け止める

そんな君が好きだ
いやなことを全部自分が
しょって生きている
そんな顔をしているやつは
嫌いだ

落ち気のやつは嫌いだ

鞭を打ち
やさしく励ましてやろう
我武者羅(がむしゃら)でいい
困難に立ち向かっていく
君が好きだ

ひがみっぽい君を
怒りっぽい君を
恥ずかしがりの君を
心の定まらない君を
鞭打って

君の心が落ち着くまで
僕の心で直してあげよう

「二人四足」

君が一緒なら
忘れかけた童謡(どうよう)が 歌が
後から後からあふれ出る

今こそ未来に向かって
力いっぱい歩いていこう

二人で支えあい
休むことなく歩いていこう

時には強く突き放し
時にはやさしく包み込み
苦しみは一緒に耐えていく

誰のためでもなく
僕のため
君のため
二人だけの世界がある

「ある夏の思い出」

裸足で砂浜を
とび歩いた二人
暑い太陽に
力いっぱいの若さを
踊らせて
飛び跳ねた二人
冷たい波に
大きい声を出して
はしゃいだ二人
そのときの二人は
常に一緒だった
ある夏の思い出

「愛の(ほのお)

強い風が吹いたって
たとへ 嵐が来ようとも
一度ついた(ほのお)はろうそくのように燃え尽き
かた向き とろけても確かに燃えた後はある

やさしく強く明るく咲いて
君の周りを輝かしていた

そんな明かりを忘れはしない
短い命で終わっても
明るく照らしたあのころを
今も確かに忘れはしない


一瞬に燃え尽きたほのかな愛は
忘れることができませぬ

目次へ戻る