最近のできごと(番外編)その1

ネッシーJr.ESの製作

2007.2.26更新

1 さて。。。

 昨年、オーディオから離れようかな・・・と考えた瞬間もあったが、楽しめるように楽しんでみればいいかな、と思い直し。。。

 さりとて、子供が下宿して私学に通うとなるとまず生活することが最優先になることも間違いないことで・・・

 そうした状況が確定してしまうと何もできなくなってしまうので、そうなる前に思い切って行動に出ることにした次第。

 具体的にはどうするか・・・以前から、いつかは、と考えていた16cmか20cmのユニットを使って、スピーカーを作ること。
 作るとなれば、当面のメインにすることを考えて、それなりに気合を入れて、ということになるのだが、好みからすれば、バックロードホーンか共鳴管になる。となると、レギュラーユニットを使う気にはなれないので限定機種を入手しないといけない。

 しかし、知る限り、新しく出るのはFE208ES-Rだが、どう考えてもコストがかかり過ぎるだろうし、20cmは使い切れないという印象が強い。では、16cmか・・・。

 入手方法は、中古店を探すかネットオークションというのがオーソドックスなところ。状況と気持ちが変わらないうちに手をつけないとどうなるのかわからないので、中古店の入荷を待つのはどういうものか・・・。
 とういことで、ヤフオクをサクサクしてみると・・・6N-FE168SS、FE168ES、FE208S、FE206ES-R辺りが出ている。FE208ESはない。

 ここで、20cmに目移りがしてしまうが、やはり最新技術を投入した168ESを入手しておくことが後々悔やむことがないだろう。208ES-Rが販売された段階で208ESが放出される可能性は高いと思うが、やはり16cmよりはコスト高になるし(中途半端な思い切りしかできない悲しい性である)、その時期まで待てない事情がある。

 目標は、FE168ESに決定。中古でもプレミアが付くのはやむを得まい。発売時に店頭に並んでいるのを見たことはあったが当時はこれを使うことになろうとは考えもしなかった・・・。
 何とか常識的な価格で落札できて、手元に届いたFE168ESである。

 非常にきれいで、端子に半田の痕は無い。ネジ穴にも傷もないことから、もしかすると未使用であるかもしれない。強いて言えば、コーンの突起部に削れたような感じのところがあるくらいである。最初からあったものか、こういうものなのか判断できないが、大きな影響はないだろう(と思う)。

 裸の状態で音出しチェックをしてみたが問題は無さそう。驚いたことにこの状態で低音が出ている・・・。う〜ん、これが16cmか・・・。驚きとともに期待感が高まる。

 それにしても、堂々としたユニットである。重いので取り付けに苦労しそうではあるが・・・(^^ゞ

 では、このユニットを使って、何を作ろうか・・・

 バックロードなら、長岡氏設計のD-37だろうか・・・。でも、これはどうも奥行きが結構あるらしく占有面積が大きくなりそうである。

 やはり、共鳴管でいくことにしよう。今、一番気に入っている鳴り方をしているし、床の占有面積も少なくて済むし。

 今回の製作を想定した訳ではないが、ネッシーミニもあるので、結果としてミニ方舟プロジェクトの音を自宅で味わうことができることにもなる。方舟の音の雰囲気を感じることができるかもしれない・・・。

2 工作

 基本的には、炭山アキラ氏設計のネッシーJr.ESそのままであるが、次の3点について変更をしている。

@第一パイプの背の高さを2cm低くしている。ただし、ユニットの高さは変えていない。無理の無い範囲でユニットと天板の距離を縮め、ツィーターと近づけようとの意図である。これが音的にいいかどうかはよくわからないが、まぁ気分の問題である。

A第3パイプを10cm短くし、50cmとしている。これは見た目の好みだけである。

BAで第3パイプを短くしたので、重ね合わせる長さを確保するために、第2パイプの長さを15cm長くする。原設計では、音道のため前面下端を15cmカットするが、それをせずに側板、背板に15cm足すこととする。

 なお、板材は15mm厚のMDFで、近所のホームセンターで自分で機器を使用してカットしたものである。サブロク(1820mm×910mm)を5枚使用する。板長の1820mmは敢えて1800mmにカットはしていないので、その差20mmはパイプが長くなることになる。

 板材が音質に影響することは体験済みである。シナアピトン、フィンランドバーチ、・・・そこまでいかなくでもシナ合板ぐらいは、とちらりと頭をかすめたが、ユニットにコストをかけてしまったので、ここには資金を投入する勇気が無い(^^ゞ
 ネッシーミニ製作のときにもそうだったが、パネルソーを使っても、長尺モノでは正確にカットし切れないし(技術がないので・・・)、品質が均一と言われるMDFでもソリはあったりするもので、第2パイプをズレなく接着することはなかなか大変である。

 それも一人で、十分な道具が無いとなればなおさら、ということになる。

 そこで、今回はスリムねじを積極的に使うことにした。あらかじめネジを仕込んでおき、少しだけ先端を出しておくとボンドを塗ってあってもズレない。端がねやクランプを使いながら、場所決めができたら、ネジをどんどん締めていくのである。これは、完全な接着を待つことなく次の作業へ移れるので、作業効率がいい。
 バッフルに開けるユニットの穴は、ジグソーで。
 これは10cmや8cmに比べるとカーブがなだらかである分、作業がしやすいと思う。

 バッフルは2枚重ね。1枚目の穴を抜いて、ユニットが・・・というかマグネットが上手く通るかどうかを確認。う〜ん、壮観。。。それにしても、このユニット重い。
 今回、音の出る作業はなるべく屋外でやるように心がけた。

 受験生の邪魔をしてはいけない・・・。

 小型スピーカー用にと作成したスタンドがこんな感じで役に立った。見た目以上に頑丈にできており、なおかつ、安定していて、実に具合がよかった。
 特に、長尺モノを扱うときにはこういう台があると便利である。
 さて、今回の作業で肝となるのはユニット取り付け部分である。

 これは2枚目で隠れてしまう方のバッフルの作業途中のもの。

 15mm厚1枚でユニットを支えるのはどうにも頼りない。純正のリングP168もとんぼさんのDFリングも入手できる見通しは無い。(もっとも探す努力もしていないが・・・)

 そこで、くずてつさんのスーパーネッシーの真似をして、ネジを通す箇所は2枚重ね(30mm)となるようにする。そこで、2枚目は歯車のようにカットしないといけない。そのための作業を円滑に進めるための下穴がたくさん、という訳。結構面倒な作業であるが、ここはこだわりたいところである。
 カットができて、2枚の板を重ねてみたところ。
 これは裏面ということになる。何とか様になった。
 で、問題はいかに正確な場所に、垂直にネジ穴を開けるか、である。

 108ESIIでもそうだが、8本のネジで締める場合はそれなりの精度が求められる。ここは慎重な作業が必要になる。

 ボール盤があればいいのだが、あったとしても長尺の板を支えるためにはそれなりの対策が必要だろう。さて、どうするか・・・。
 そこで、このたび新兵器をゲットすることにした。勢いでの購入だ。ドリルスタンドである。電動ドライバーのヘッド部分を固定して、垂直に降ろすというものである。

 大きな期待をもって購入したスタンドではあったが、結構がたつきがあり、思ったほどは精度が出ない。使い方が下手なのかな、とも思ったが、どうもそういうものらしい。

 まっすぐに降ろしたつもりでも、降りながらズレていくようなのである。
 理想ほどの精度が出ないとは言うものの、それでも全くの手作業よりはもちろん精度は高い訳でとりあえず穴は開いた。

 これは両面から半分ずつぐらい抜き合うとより精度は高まるようだ。

 この穴に爪付きナットを仕込む。これが一番強力だ。
 ちなみに、サイズはM5。
 10cmユニットの場合は、M4だから、ワンサイズ大きいことになる。
 おそるおそるユニットをバッフル穴に装着し、ステンキャップスクリューをセットしていくと・・・
 おおーっ、ネジを締めるときの多少の硬さはあるものの、つまりはズレているということかな(^^ゞ・・・、何とか装着することができた。これで、今回のスピーカー工作の難所は過ぎたも同然?である。

 あとは、どこまで手をかけて仕上げるか、だけである。

 たいていは、仕上げるよりも、一時でも早く聞きたいという気持ちが勝ってしまうのだけど。。。
 バッフルの裏側は、一応、角を削って、空気の流れが少しでもスムーズになるように・・・

 MDFって、カットはしやすいんだけど、削るのは結構大変で・・・。
 さて、これは第2パイプを組み始めたところ。

 サブロクの板としては、最長の部材を扱うことになる。

 ネジの頭を出しておき、滑りを防止しておいてから、コーナークランプを使って、直角を出し、後はひたすらネジを締める!多少のズレは仕方が無いが、1mmはズレていないと思う。

 一人でやるのは少々しんどい作業であるが、好きで始めたこと・・・泣き言は厳禁なのだ。
 第2パイプを2本とも組み上げたところで、覗き込む・・

 う〜ん、らしくなってきた。。。形になってくると俄然作業を進めたくなるから不思議だ。

 MDFなので、補強材を追加しようかな、と考えたりもしたが、断面積が減るのもなぁ〜、手間がなぁ〜と標準仕様に。

 ただ、補強材の面取りだけはしている。これは、くずてつさんのスーパーネッシーmkIIの真似(^^ゞ
 本当に長い・・・。普通に撮影しても収まらない。。。

 で、ここまで作業を進めてくると問題は精度よりも重量である。重いのだ。。。
 完成段階で、ユニット込みで1本推定30kg超!

 一度、中腰で持とうとして、よろけてしまった。怪我には注意!腰にも注意!!
 天板のスピーカーターミナルである。ターミナルの位置をどこにしようか、かなり迷ったが、標準の位置にした。コードが釣り下がるのは決して見栄えのいいものではないが、ここに付けておけば、何かのトラブルがあったときに対処がしやすいし、ここが定位置なのにはきっと意味があるに違いないと考えた次第。

 今回は贅沢をして、コイズミ無線のT100Sを使ったが、大変しっかりできていて安心感がある。

 それで、今回の全体の作業の中で、実は一番手間取ったのが、このターミナルの穴開けだった・・・。なかなか垂直が出なくて・・・。穴が垂直でないとターミナルを取り付けたときに、斜めになっていることが目立って、カッコがワルイのだ。
 結局、8mmが指定のところ、9mmの穴を開けて、何とかクリア。。。はぁ、疲れた。
 内部配線には、FOSTEXのSFC-80を用意していたが、ここは少しこだわって、オーディオクラフトのQLX-100の線材を使うことにした。ツィーター用に使っていたもので手持ちでは一番印象が良かったので、これがいいかな、と。。。

 ここでも作業でトラブル?発生・・・半田が上手く付かなくて・・・。1箇所なぜか上手くいかず、何度もやり直して、ようやく安定。もっとも、取れてしまっても、ユニットの穴から作業ができることが確認できたので一安心である。

 スピーカー側には今回はファストン端子を使用。ターミナルと一緒にコイズミ無線の通販で購入したオーディオテクニカ製の金メッキのもの。ユニットへの装着感もしっかりしていて、いい。
 いよいよ前面バッフルと第2パイプとの接合である。

 だんだん形になってくるとワクワクしてくる。

 早く完成させて、音を聴きたくなってくる(^-^)
 側板である。

 今回の作業ではこのようにスリムネジを多用して、作業効率と強度を確保している。

 これは、板面に食い込む様にねじ込むことができるので、パテで埋めて塗装をすれば、痕がほとんど目立たなくなる。
 まぁ、見栄えは二の次である。
 ということで、何とか試聴をするところまできた。

 音量は上げられないが、音に厚みというか深みがあり、度量の大きさが感じられる。

 嬉しいことに音色は108ESIIと似ている。それでいて、108ESIIでは物足りなかった厚みのようなものが出ているようである。

 これはいい!!
 第3パイプのトップの開口をどうしようかは製作中ずっと迷っていた。我が家の部屋の天井高は2.4m。
 材料を揃える過程では少しでも高さを取るために前面開口とすることを考え、吸音材も用意していたのだが、試しに上部開口のまま組んで音出しをしたところ、特に違和感を覚えなかった。
 そこで、上部開口のままで当面いくことに決め、全高225〜230cmになっている。

 塗装であるが、バッキーとクレーンに使ったペンキの余りを使って、着色をする。いつもそうだが、3〜4回重ね塗りをするだけである。

 ただ、重くて一人では外までは運べないので、こっそりと室内で作業を決行!

 ということで、目立つ前面と側面だけ着色し、背面は無着色のまま・・・(^^ゞ
 まぁね・・・いいのさ。。。

 それにしても大きいものである。隣のネッシーミニが本当にミニに見えてしまう。ネッシーミニだって、これ単体で見ていたときはそれなりに大きく感じていたのに、カワイイものである。

 幸い、Jr.ESも色合いが淡いせいか、私にはそれほど威圧感があるとは思えない。むしろ、部屋の中が明るくなっていいかな、とも思っている。
 一応、完成である。

 全体はどのみち収まらないので、ユニット正面をパチリ!

 ツィーターは、FT90HGをそのまま利用。0.47μF、逆相でとりあえず繋いでいる。
 音色があっているのかどうかはわからないが、見た目はバッチリだと思っている。ミニT500Aみたいだもんね。。。
 ステイには、ベタブチルゴムと敷き、鉛のインゴット(自分で長さを加工)で支えている。

 まだ、本格的には聴いていないが、10cmに負けないくらい細かい音も再生しているように聞こえる。非常にいい感じである。

 思い切って、作ってよかった・・・というのが偽らざる感想で、これから、こなれてきたら、どのようになるのか、本当に楽しみなのだ。。。


 とここで、ふと疑問が沸いた。

 炭山さんは、Jr.ESを製作してから、ネッシーミニを製作している。本当にそうなのかな・・・と。先に、ミニがあってJr.がくるというのは理解できるが、Jr.ESを先に聞いてしまうと、ミニの必要性は全く感じない。リア用に考案したものだから、、、ということかもしれないが、、、
 ふと、そんなことを考えてしまうくらい、ミニに比べて、Jr.ESは圧倒的なパワーと繊細さを兼ね備えた再生力をもっていると思う。

3 そして
 今回の製作途中で、コウから次の通りの要求が・・・。

 「Jr.ESがメインで、ミニをリアにするなら、108ESIIとDFリングを譲ってくれ。リアにはもったいない。」
 ・・・とのことで至極まっとうな意見である。

 そこで、リアには、クレーンから外した6N-FE108ESを装着したネッシーミニを使うことにした。

 残念ながら、リアをゆとりをもってセッティングするスペースはないが、それでも「ミニ方舟プロジェクト」の実行参考例くらいにはなるだろう。

 ところで、よく言われるとおり、168ESの低域再生力はさすがである。サブウーファの存在価値がだいぶ薄れてしまったようだ。だが、あるのとないのとではやはり違う。

 次は、FW208Nをゲットしないといけいのか・・・それは難しいかな(^^ゞ
  
 

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