仕事サボって、公園で日向ぼっこ。
ついでに自分へのご褒美チョコを食べていたら、万事屋さんが物欲しそうな顔をしてやってきました。



「…………なァ」

「……とりあえず、言いたいことはわかりました。
 理由を正直かつ簡潔に述べてください」

「昨日はバレンタインデーだったってのに、一つもチョコ貰えませんでした」

「潔いほどに正直ですねぇ」

「なァ」

「はいはい。じゃあ、あーん」

―――何だコレうめェ! かつてないチョコ! キングオブチョコ!?」

「某有名店の限定生チョコですもん。
 あーあ。せっかく自分用に買ったのに。一口換算300円なのに」

「……ちなみに、お前んトコのヤツらにもやったのか?」

「屯所のみんなですか?
 数日前から煩かったので、仕方ないから徳用麦チョコ一袋買って、3粒くらいずつ配って回りました。
 残りは私の胃袋に収まりましたけどね」

「麦チョコ3粒かよ……義理にしても酷くね?」

「みんな泣いて喜んでたから問題ないですよ」

「イヤ、それは喜んでたワケじゃねェと……」

「人にチョコ買わせておいて、喜ばないなんてフザけた真似、私がさせると思いますか?」

「……しねーか」

「麦チョコ、美味しいですしね」

「それより今の生チョコの方が美味ェんだけど」

「じゃあもう一つ食べます?」

「マジでか!!」

「はい、あーん」

―――ところでよォ」

「はい?」

「このチョコは義理か? 本命か?」

「本命は自分へのチョコですよ。私、自分大好き人間ですから。
 今あげたのは、そうですねぇ……慈悲チョコ?」

「慈悲……俺、そんなに不憫に見えたワケ?」

「わりと」

「…………まァいっか」

「いいんですか」

「麦チョコよりはレベルが上だろ?」

「それもそうですね」



私はなんとも慈悲深い人間だったらしい。新発見!



(オチは無いよ!)

(ナチュラルに「あーん」をする娘と、当然の如くにされている銀さん)

(でも付き合ってないんだぜ!)