高校教師 〜それは少しも禁断らしくない、禁断の関係〜
「先生ー。先生ってばー」
のんびりとした声と共に、身体を揺さぶられた。
穏やかな昼下がり。
飯食って、程よく暖かい屋上で壁にもたれて惰眠を満喫しているところを、無理矢理に意識を浮上させられたら。そりゃもう腹が立つよなァ?
面倒で目を開けることすら億劫だってんだ。それでも揺さぶってくるのが誰かはわかるんだよな。
。
彼女との関係を言い表すなら。生徒と教師。昔遊んでやった子供とお兄ちゃん。そして、恋人。
「先生ー! もうすぐお昼休み、終わっちゃうよー?」
大丈夫。今日の5限は、俺は確か空き時間。
それよりも、お前こそ授業に出ろよ?
つーか、生徒が、立入禁止の屋上に来るんじゃありません。
え、俺? 俺はいーんだよ。教師なんだから。
口に出さずに、それでもに話しかける。いーんだよ。ツーカーの仲、以心伝心ってヤツ。
「他の先生が探してるよ? 職員会議の資料がどうの、って」
……そういえばそんなものもあったか。
退屈極まりない職員会議なんか、どうでもいいね。俺は。
確か今日が提出期限だとか言われていた資料は、机の引き出しの奥底。諦めてくれ、「他の先生」とやら。
っつーか、ソイツに頼まれて俺を起こしに来たわけ?
つまらない感情が胸中を過ぎる。
「もう! 先生、起きてるんでしょう!?」
それでも怒ったようなの声が、また可愛い。
そう思ってしまう俺は、結構重症なのでしょーか。
大体、と一体いくつ年の差があると思ってんだよ、俺。
いや、それよりも、が幼稚園児の時に言った「銀ちゃんのお嫁さんになりたい」の台詞をしつこく覚えてたあたり―――俺って、もしかしてロリコン?
うわー、参っちゃうね、コレは。
けど、もいつまでも子供じゃない。
「……まったく。起きてくれたら、キスしてあげるからー……銀ちゃん」
子供じゃないから、俺の扱い方も心得てる。
この歳になって、たかがキスの一つで釣られてんじゃねーよ、と理性が呆れる。
いやでも、ただのキスじゃねーんだよ、のキスなんだよ、わかってる? ってのが感情の抗弁。
更にそこに本能まで加わって大論争。
まぁ、勝つのはいつだって本能なんだけどな。
胸中で苦笑しながら、俺は眼鏡を外す。
だって邪魔じゃん。キスするには。
そうして目を開ければ、目の前には、俺の顔を覗き込んでくるの顔が。
笑いかけてキスを催促すると、「仕方ないなぁ」とでも言いたげにも笑う。
って、何か変じゃねー?
これじゃ俺の方が、困ったチャンなガキみたいじゃねーか。
もしかして俺、子供扱いされてない?
ま、いっか。
即断0.2秒。子供扱いでも何でも、からキスされるんなら、我慢する価値はあるってもんだ。
そして重ねられる唇。
その柔らかい感触を味わうよりも先に、は顔を離そうとする。
けどな。
キスってのは、この程度のモンじゃねーよな?
身を離しかけたの身体を逆に抱き寄せ、キスを深める。
どうせ「おはようのチュー」程度のことしかするつもりのなかっただろうは、当然ながら抵抗する。
でも、もう遅い。
キスさえしてしまえば、こっちのもの。
口内を撫で上げ、熱い舌を絡ませ、互いの唾液を混ぜ合わせ。
たったそれだけのことで、の身体からは力が抜ける。
実に素直な身体だね。あ、そうしたのは俺か。
「……ふぁ…っ………ん…っ」
キスの合間に洩れる、の甘い声。
俺の白衣にしがみつきながら、それでも必死に俺のキスに応じようとする健気さが、たまらないわけだ。
そのためなら、一張羅の白衣が皺になろうと、知ったこっちゃないね。
にしても、そろそろ頃合か?
キスは続けたまま、を俺の膝を跨がせるようにして座らせる。
「……銀、ちゃん…?」
体勢を変えられたことを流石に不審に思ったのか、キスを止めてが俺の名前を呼ぶ。
キスの余韻を残す、上気した頬と、潤んだ瞳で。
そんな顔して名前呼ばれた日には……アレだよ、勃っちゃうよ、銀サン?
いや、でも。
ここは学校で。当然、はセーラー服なんか着ちゃってるわけで。
そうとなれば、やるこたァ一つと、世の相場は決まってる。
「。学校では『先生』だろ?」
「――っ!!? せっ、先生は、こんなことしないよっ!!」
「んー……学校で先生を名前で呼んだ罰、じゃねーの?」
理由なんか、どうでもいいんだよ。
文句を言おうとしたの唇を、今度は俺の方から塞ぐ。
抵抗しようとするの身体を片手で抑え込み、空いた片手はで、セーラー服の上からその胸を揉んでやる。
アレだよ、アレ。だから理性と感情が争った結果、本能が最終的に勝者になっちまったんだよ。
ぶっちゃけた話、が目の前にいたら、ヤりたくなるのが男ってモンだよ。
おまけに、こういう時に「先生」って呼ばれたら、教師と生徒の禁断の愛、って感じで燃えんじゃん。
……あれ? そーいや俺と、もともと教師と生徒の関係じゃねーか。
なに。禁断の愛真っ只中だったんだなー、俺とってば。
感慨に耽っていると、ようやくも抵抗するのを諦めたらしい。
つーか、抵抗する気力が無くなった、と言った方が正しいかもな。
俺のテクはには効果覿面なんだよ。
一度唇を解放してやると、案の定、の身体は、くてっと俺の身体に凭れかかってきた。
「……銀ちゃ…先生……5時間目、始まっちゃう……」
「確か数学だろ? 大丈夫、後で俺が教えてやっから」
つーかなら、一度や二度サボったところで、問題無いだろ?
首筋に唇を落とせば「んっ」と良好な反応を返してくる。
つまりこれは、も構わないってことだよなー。この場でコトに及んでも。
わかってんのか? ここ学校だぞ? 屋上だぞ? 外なんだぞ?
今更嫌だと言っても、俺は止めらんねーからな?
調子に乗って、つーよりもむしろヤる気満々で、セーラー服の中に手を入れ、素肌に指を這わせる。
てっきりもこのまま流されると思ったんだが、どうやらそうはいかなかったようだ。
「だっ、駄目だってば…っ、ここ、学校っ……ぁんっ」
「学校だな。んな声誰かに聞かれたら、恥ずかしいよなァ?」
「やぁっ、やだぁ…っ……ぁあっ」
だから、見つかったら恥ずかしいだろ?
いや、その前にヤバくないか? 教師と生徒でここまでやっちゃってるってのがバレたりしたら、俺、教職免許取り上げられんじゃねー?
……ま、いっか。
愛だよ、愛。愛さえあれば、どうにでもなるだろ。多分。
よし。覚悟完了。
覚悟なんてのは、決めてしまえば開き直れるもんだ。
だったら、せいぜいを啼かせてやろうと、俺はのブラを手探りで上にずらし、胸を直に刺激する。
「ぁっ…銀ちゃ……やめ……っ」
「学校では『先生』だって、言っただろ?」
荒い息の合間に名前を呼ばれるのもいい。
けど、「先生」と呼ばれた方がもっと燃えるね。間違いない。
おまけに、こうしてを苛めるのも楽しい。
あー。俺って、実はサディスト? やべェな。Sに目覚めそー。
「っ、先…生……ぁんっ…やめ、てぇ…っ」
「………悪ィ、。やめらんねーわ、俺」
……Sより先に、禁断の愛に目覚めましたよ、銀サンは。
やべェ。ヤる時に「先生」なんて呼ばれるのが、ここまでクるモンだとは。
俺、シチュエーションフェチだったんだな。「先生」、いい響きじゃねーか、チクショー。
白衣にしがみつくの手を、ゆっくりと外すと、が潤んだ瞳でぼんやりと俺を見る。
だから、その顔も俺をそそってるんだってことに、気付いてないのか?
ぼんやりと、思考回路が正常に働いていないのであろうのその腰を支えて、膝立ちの姿勢にさせる。
片手でその腰を支えたまま、空いた片手で、のセーラー服をたくし上げた。
目の前に現れたのは、露わになったの胸。その先端は、すでに立ち上がっている。
「やだ」だの「やめて」だの言ってた割には、ちゃんと感じてたんだな。
俺は満足して一人頷くと、が我に返る前にと、止めていた愛撫を再開した。
腰を支える手はそのままに。
胸の先端を掠めるように唇を落とし、舐め上げ。
もう片方の胸は、空いている手で揉みしだく。
「ぁっ…やぁんっ、あっ……ぁあん…っ」
途端、はあられもない嬌声をあげる。
普通なら、聞かれないために堪えさせるところなんだろーが。
上手い具合に授業が始まるこの時間、屋上にやってくる人間がいるはずもねェ。
聞かれる心配がなけりゃ、そりゃのイイ声は聞きたいだろ。
つーか、声を我慢するなって教え込んだの、俺なわけだし?
恥らってるのに、声は出す。そのギャップがいいんだよ。
更に啼かせようと、胸に口付けたまま、手をスカートの中へと入れる。
太腿を撫で上げれば、それだけで跳ね上がるの身体。
さすがに学校でヤって下着汚すのはまずいよな。そう考えての下着をずり下ろせば、ソコはすでに濡れそぼっていた。
の感度が良好なのは男冥利に尽きるってモンだが、こういう時には困るよな。
困るんだが……それでもやっぱ、嬉しいわけだ。
「」
「え……な、に……ひゃぁんっ!!」
の名前を呼びながら、俺はのソコに中指を埋める。
ひときわ高い声をあげたは、快感に耐え切れなくなったのか、膝立ちの姿勢をもはや維持できずに腰を落とす。
と言ってもそれは、俺の指をより深く咥えこむだけだ。
結果、予期せぬ快楽に背をのけぞらせたを、俺は慌てて支える羽目になった。
が楽なように、俺の身体に凭れるようにして脚の上に座らせる一方で、の中に二本目の指を入れる。
勝手知ったるの中、一番感じるとこをギリギリ掠めるように、俺は二本の指をバラバラに動かす。
そんな時、快楽を求めようとする淫らな腰の動きや、洩れる切なげな吐息は、俺のアソコを直に刺激する。
―――にそれを仕込んだのは、俺。
キスの仕方も、快楽の感じ方も、喘ぎ方も、吐息も、その表情も。
全部、何もかも、俺が仕込んでやった。
もうは、俺専用なんだよ。
俺のためだけに啼いて、感じて、乱れて。俺のためだけに淫らな華を咲かせればいい。
「なァ、……」
「ぁあっ…なぁ、に…っぁんっ、はぁっ…んっ」
「好きだ」
「わっ、わたし、も…っぁあんっ……銀ちゃ…銀、ちゃんっ……っぁあっ!!」
の無言の催促に応じて、感じるところを刺激してやれば、は簡単にイっちまった。
……それは仕方ないにしても、だ。
重要な問題がまだ残ってるだろ。
ぐったりと俺に寄りかかるの耳元に、俺は口を寄せる。
「ー? 大丈夫かー?」
「……銀、ちゃん…」
「つーか、一人でイってんじゃねーぞ?」
「……だって」
「俺、まだイってないんだけど?」
「…うん」
「中出しさせてくれや」
「だめ」
うお!? 即答!!?
気だるげに俺に寄りかかって、イった余韻が残ってるっつーのに、中出し拒否は即答かよ!!?
いや、でもよォ。俺のムスコは反抗期でな。駄目だと言われたら、余計にの中に突っ込みたい、ぶちこみたい、とか言って暴れてんだよ。
こうなったら、の意志を無視してヤっちまうか。
けど、それでに嫌われたりしたら、元も子もねーし。
せめてゴム持ってきてりゃあなー。って、んなモン学校に持ってきてたら、セクハラで訴えられるじゃねーか。
つーか、マジでそろそろ限界なんすけど……
「」
「だめって言ったらだめ」
「なら、口でしてくんねー?」
「え?」
きょとん、と俺の顔を見上げたは、俺の言葉の意味を一瞬遅れて理解したのか、見る見る顔を赤く染め上げる。
中出しは即拒否だったが、フェラはいいのか? OKなのか?
嫌なら早く言わねーと、期待しちゃうよ、銀サンは。
「なァ、駄目か?」
「……ど、どうすれば、いい、の……?」
……マジですか?
いいの? マジ!? マジでフェラしてくれんの!!?
言ってみるもんだな。
耳まで真っ赤にして俺の白衣に顔を埋めるを俺に向かせて、その頬に軽く口付ける。
ついでに、胸の上までたくし上げたままになっていたセーラー服の裾を下ろす。目に毒だろ。
真っ赤になったままのを俺の脚の間に座らせると、準備万端とばかりに俺はズボンのチャックを開ける。
手が震えてなかなかチャックが開けらんねーのは、気のせいだ。
アレだよ、アレ。ムスコがデカすぎんだよ。たかがフェラで緊張して堪るかよ、俺が。高校生のガキじゃあるまいし。
あ、でもも高校生のガキか。いや、違うね。は立派な女だよ。俺の。
ようやく姿を見せたムスコは、俺も驚きなほどにデカく、そそり立ってやがった。
……やべェ。に見られてるってだけで、イきそうになるじゃねーか。
「……ぎ、銀ちゃん。どうすれば……」
「と、とと、とりあえず、咥えろ。な、舐めんだよ。そ、そそうだ、アイスキャンディーだと思え!!」
俺、なに動揺してんだよ!? カッコ悪ィだろ!!
大人の男として余裕のツラしてみせんのが、俺の立場だろォォ!!?
けど、には俺以上に余裕なんてものは無いはずだ。
そろりと手を伸ばして俺のソコに触れると、おずおずと顔を寄せる。
のその様子だけでイっちまいそうになる俺自身が、未だかつて無いほど情けねェ。
「銀ちゃん……その…下手だったら、ごめんね……?」
直前になって、んな可愛いこと言ってんじゃねェェ!!
ヤバイ。やべェよ。俺のムスコ、発射寸前になってるよ!!!
俺の内心の焦りに気付くはずもなく、はその可愛らしい口を開けて、覚悟を決めたようにぱくりとソレを咥えた。
生温かいの口内に、ゾクリと俺の背筋を快感が走る。
その感覚もさることながら、が俺の股間に顔を埋めているという、その卑猥な視覚もまた、俺の快感をかきたてる。
……マジで限界かもしんねー。
体中の血液が下半身に集中するかのような、感覚。
必死で堪える俺にが気付くはずもなく、言われた通りに、ちろりと舌で舐め始めた。
その濡れてざらついた感触。全身を駆け抜ける快感。
俺のリミッターは、完全に外れた。
耐えられるはずが無い。
「悪ィ、っ!」
「ふぇ―――っ!!?」
「くっ……!!」
途端、質量を増した俺のブツに驚いたのか、思わず顔を離しかけたの頭を、俺は押さえつけて逃がさなかった。
そのままの口の中に、すべてを吐き出す。
逃げられなかったは、俺の出したモノを飲み込むしかない。
手を離してやると、は頭を上げて、けほけほと咳き込む。
飲み下せなかった分が、口の端から顔を伝い落ち、またそれが淫猥に映る。
……どうしてこう、こいつは俺をそそるような表情ばかりするんだ。
けど、俺のムスコが再び元気になる前に、ようやく咳の治まったが、複雑な表情で俺を見た。
「……銀ちゃんって……ソーロー?」
「なッ…違ェよ! 今のはが悪いんじゃねーか!!」
た、確かに今のは早すぎたけどな!!
そりゃ、お前にフェラされたからであって思わず思春期のガキみてェに舞い上がってそうだよ俺の心は少年のままなんだよ初心なんだよチクショー!!!
あー、クソ。やっぱ情けねー……
……でもな。俺は早漏じゃねーぞ!
いつもはこんなに早くねーだろ! それは、お前が一番よく知ってんだろーが!!
「! 学校終わったら俺の部屋に来い! 前言撤回させてやっから!!」
「え!? ま、またするの!!?」
「当たり前だろ! 本番だ、本番! 今のは、そう、予行演習ってヤツなんだよ!!」
「し、知らないよ、そんなの!! やだ! 行かないから!!」
赤くなって立ち上がるの手を掴んで、腕の中に引き戻す。
「どこ行くんだ? 他の奴らはまだ、授業中だぞー?」
「……どうでもいいから、チャックだけは閉めて……」
……いきなり現実的なことを言うんじゃねーよ。
それでも、大人しく腕の中に収まっているはやっぱり可愛いと、チャックを閉めながら思う。
さて。
5時間目が終わるまで、このまま昼寝すっか。
が腕の中にいれば、最高の夢が見られるね。間違いない。
一番寝やすい体勢を探して落ち着くと、俺はを抱き直す。
それでも何も言わねェんだから、も文句はないんだろう。
よく晴れ上がった空に、の温もり。格好の昼寝条件だよな。
そう、俺が目を閉じかけると―――
「……銀ちゃん。その……数学教えてくれるなら、行ってもいい、よ……」
俺の白衣に顔を埋めて、が言う。
消え入りそうな声でも、俺の耳にはしっかり届く。の声が、俺に届かないはずねェだろ。
にしても。
「学校では『先生』と呼べって、言っただろ?」
耳元で言ってやると、はすぐに赤くなる。
ああ、クソ。表現できねェほどに可愛いよ。お前は。
今すぐ第2ラウンドに持ち込みてェところだが、お楽しみは夜にとっとくとするか。
赤くなったの頬に唇を押し付けると。
俺は今度こそ、目を閉じた。
<終>
初裏。
ええと、その……旅に出ます。探さないでください。
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