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福  市
2003/2/9

アルバムにリンクわたしが子供の頃からあった。最福寺の福市。
節分の行事、毎年二月の第二日曜に開催、町のあちこちに(その気で見れば)福市開催ののぼりが立つ。
去年、下の子が、小学生の時は、朝から、バンバンと花火の音がして、もう子供はソワソワ、日曜日のバスケの練習にも、子供たちはあんまり来ない。
でも、今年は息子も中学生、途端に福市も縁遠くなった、ついでに今年は花火の音も聞こえない。

私の記憶では、たしか昔は、火渡りがあった。
修験者みたいな人が来て、護摩木を燃して、そのあと、ひろげた燃え殻の上を渡る。
もちろん裸足じゃない、靴履いて渡るのでなんの危険も無いけど、ヒャーヒャーはしゃいで渡った覚えがある。

といっても、昔も今もメインイベントは豆まき。
袋に詰めた豆を厄年の人が播く。
袋には色紙が入っていて、お菓子やら、醤油、サラダ油なんかが色に応じてもらえる。
一等賞は、自転車とか、結構豪華。

小学生が、張り切って出かけるのだけれど、彼らには天敵がいる。
体力というか体重にものをいわせるおばちゃん軍団。

なんだろう、空からモノが降ってくると人は変わる。
息子が小学生の頃は、つかんだと思った豆をひったくられたとか、下に落ちたのを拾おうとして、手を踏んづけられたとか、毎年両者の間では壮絶なバトルが繰り広げられる。
私も、かって、無謀にも、小さい子供を肩車して、豆まきに参加、始まった途端、人ごみの中で足元を救われ、子供もろともひっくり返った事がある。

豆まきは午前と午後。
午前、初回の豆まき、あまちゃんの小学生は去年のことなんてすっかり忘れて、ノホホンと参加、気合十分のおばちゃんに敗北を喫する。
ここで、バカな小学生はやっと、去年も痛い目に合わされたことを思い出し、巻き返しを誓う。
今時の小学生は、発育が良くて、身長だけならおばちゃんに負けない、運動能力は圧倒的、午後からは負けない、と自身満々。

豆まきは、スポーツで言えば、バスケットボールのリバウンドに似ている。
もちろん、身長が高いほうが有利なのは間違いないけれど、スラムダンク読んだ人ならご存知のとうり、いかにいいポジションを取るかが重要、圧倒的な体重差を武器に圧力をかけ敵を排除し、落下地点にポジションを確保すれば、身長差恐るに足らず。
おまけに、豆まきの場合、ヘタにジャンプしようものなら、着地のスペースは人波に埋められ、足元が救われひっくり返るので、子供たちの運動能力は、発揮しにくい。

そして、リバウンドの確保と同じく、何より重要なのは、執念、あきらめない事。
その点、おばちゃんたちには、豆は私に向かって投げられると言う、揺るぎない信念がある。
横から手を出す小僧どもは、ひとの豆を奪おうとするふとどき者、そんな奴に負けちゃいられない。

というわけで、優劣の差は明らか。
小学生に勝ち目は無い。

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