
3.ウエイトリフティングのためのからだづくり
(1)栄養についての考え方
ウエイトリフティングを行うときに、からだの発達状態を考えて練習内容などを考える必要がある。食事のタイミングや栄養の話、間食についてなど最低限度の知識については教えておく必要がある。ウエイトリフティングだけの話ではないが、スポーツ選手としては筋肉量を増やし、脂肪をある程度まで減らすことが大切である。また発育途中の選手に対してはからだづくりに必要な栄養をバランス良く食事させることが大切になってくる。
(2)1日の基本的な栄養素別食事の取り方
朝食・・・・1日からだを動かすためのエネルギー(ご飯・パンなどの炭水化物)をたくさん摂取し、必要なビタミン・ミネラル・タンパク質(焼き魚・納豆・牛乳・フルーツ・佃煮など)も摂取する。
昼食・・・・全ての栄養をバランス良く摂取できると良いが、炭水化物は必ず摂る。
通常の弁当やランチなどで十分である。牛乳なども摂取する。
夕食・・・・食事の中で一番バランスを考えるべきである。夕食時の時間帯にもよるが、炭水化物(ご飯・麺類・パン)などでお腹を満腹にせず、良質のタンパク質(肉・魚)を多く摂れると良い。また、ビタミンや繊維質の野菜も多く摂り腸など内臓の調子も整えさせる。
(3)どのように食事を摂ったら筋肉がつきやすいか
筋肉がつくられるのは、からだの内部で成長ホルモンが分泌されるときにつくられている。この成長ホルモンが一番分泌されるのは、トレーニング終了後30分たった時間と、眠ってから30分たった時間が一番多い。そのため、筋肉の材料であるタンパク質を夕食時に摂取することにより、より筋肉がつきやすいことになる。夕食に「ご飯5杯食べた。」という食事より、夕食に「肉を○○g食べた」方が筋肉はつきやすい。
今一番行われているのは、練習直後にタンパク質の材料であるアミノ酸を直接体内に取り入れることにより、筋肉をつくることをより活発にしようという考え方が広まっている。大相撲の力士が朝稽古をして、ちゃんこを食べて昼寝をするのは、筋肉(からだ)をつくるには一番理にかなった生活形態をしていると考えれば納得できるわけである。
(4)からだを動かすエネルギー源
脂肪は、人間にとって無くてはならないものである。炭水化物をグリコーゲンという形で体の中にストックできる量はごくわずかである。そのため、炭水化物がなくなると、脂肪をエネルギーとして使うようになる。脂肪はエネルギーを貯蔵している訳である。そのため、エネルギーの貯蔵量が0になることは、生きていくことが非常に難しいと考えて欲しい。しかし、余分すぎる脂肪はスポーツ選手にとって運動の邪魔になり、その選手の持っている力(パフォーマンス)を落とすことになる。そのため、必要最低限の脂肪にするように一流選手は減量を行う。だいたいウエイトリフティングの一流選手の体脂肪率は10%以下である。私の場合、ソウルオリンピック出場時に体脂肪率が3.9%でした。現在は12%くらいであろう。健康な体を維持するにはこの程度の体脂肪が一番良いと思っている。しかし、現役選手であれば10%前後なれば、記録的にも優秀なものがでると思う。ではどのようにすれば体脂肪は落ちていくのだろうか?
(5)余分な栄養は摂取しないことが大切
脂肪はからだのなかで3種類の栄養素が余分に摂取された状態でつくられている。3種類の栄養素は炭水化物・タンパク質・脂肪である。どの栄養素も必要ではあるが、偏ったり、摂りすぎは脂肪の蓄積を招く。特に炭水化物は体内にグリコーゲンとして蓄積される量は決まっており、余分に摂取した場合は脂肪に変化する。炭水化物というとご飯やパン、麺類の他に糖分含まれる。そういった食品を1日どのくらい摂取しているか自分で確認してみよう。特に間食時や夕食に炭水化物類の過剰摂取をやめることでかなり体脂肪は減少する。脂肪も当然摂りすぎには注意が必要であるが、全て脂肪は悪者という考えは捨てるべきである。皮膚など細胞には必ず脂肪も必要である。そのため、3食食べるときにはあまり油分を意識しすぎないようにしたほうがよい。気をつけるべきものはやはり間食である。一般にスナック菓子は炭水化物と脂肪のかたまりである。それを炭酸飲料と一緒に摂れば、1日に必要な炭水化物(糖分)と余分な脂肪を摂ってしまっていることになる。まず、間食を摂る場合何にしたらよいかを考え、そのあと、3食の内容を検討すべきである。そこまでコントロールできたら体脂肪率は減少するはずである。
(6)意外に盲点なのは水分の取り方
人間の体の80%は水分でできている。そのため、人間は一日かなりの量の水分を摂る。この水分の体内の保持については水分の取り方に影響がある。汗のかきかたや、水分の摂取量にかなり個人差がある。特による寝る前にガバガバとジュースなどを大量に摂ると、体にむくみが起き、翌朝体調が優れないときが多い。意外と水分を我慢して眠ったときの方が体調がよい。減量をしていると、最終的に水分で2kgくらい体重を減らす。この時の方が体調が良いときが多い。日頃から水分を摂りすぎないように意識すべきである。特にジュース類は糖類(ショ糖)を大量に含んでいるので、脂肪も増え、体内の水分保持力がアップする。
(7)トレーニングしている選手は普通の人と比べて栄養素が偏って足りなくなることもある
スポーツ選手は、普通の生活をしている人と比べて、筋肉をつくったり、体を動かすためのエネルギーを供給させたり、熱を持った体を冷やすために汗をかいたり、怪我をした部分を修復したりすることが多い。そのため、そのいろいろな作業をするときに必ずある栄養素が必要になってくる。その栄養素を効率よく摂ることによって、怪我が早く治ったり、練習中のスタミナ切れが無くなったり、筋肉が思うようについていったりする。逆にその栄養素が足りないと、怪我がなかなか治らなかったりするなど思うような回復力が得られない場合が多い。そういったことを考えながら、通常の食事で補えない場合、栄養補助食品などを利用することを勧める。スポーツ店、薬局などでいろいろな栄養補助食品(サプリメント)は売られているが、専門家によく相談すると良い。しかし、けっこう値段も高いものもあるので、よく考えて使うこと。選手の中にはこの栄養補助食品の知識が豊富になりすぎると、全ての栄養をサプリメントから摂ろうとしてしまう人もでてくる。それは間違いであり、あくまで栄養は普段の食事の中で補うものであり、サプリメントはあくまでそれを補うための補助であることを忘れないことである。
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