ウエイトリフティングの基本

                    
1.バーベルを上げるための力

ウエイトリフティングを行うとき、なぜバーベルが上がるのか考えたことがありますか? どこの筋肉を使うのでしょうか?スナッチ、クリーンを中心にこの動作について考えてみましょう。

バーを上方向(鉛直上向き)に上げるための力は、床を押す力の反作用によって生まれます。例えば,腕で壁を押したとき、壁は動かないから自分が壁に押し返されてきます。そのとき、腕が壁を押す力が作用といい、壁が腕を押す力を反作用といいます。ウエイトリフティングの場合は、足が床を押す力(=作用)、床が足を押す力(=反作用=床反力)となります。

 この床反力によって、バーは上方向に上がるための力を得ることができます。しかし、バーは腕に握られていて、床が足を押しても、バーにその力を上手く伝えることができなければ、せっかく生み出された力が無駄になります。そう考えると、ウエイトリフティングを行う上で最初の段階で大切なこととして

(1)   大きな床反力を生み出すこと

(2)   その床反力を効率良くバーに伝達するための体の使い方

その2つが大切になってきます。


2.大きな床反力を生み出し、それを効率良くバーに伝えるためには

 大きな床kensi1反力を生み出すためには、足で強く床を押すことが大事になってきます。そのためには、体の体重及びバーの重量をしっかりと床に伝えることと、体が伸び上がる動作の反作用を伝えることが大切になってきます。動作としては、垂直跳びの時に行うように、

@   膝をしっかりと伸ばす。

A       背筋にしっかりと力を入れる。

B       骨盤を前傾した姿勢をとる。 

以上の3点が大切になります。

しかし、垂直跳びのように、つま先立ちを意識するのではなく、膝をしっかり伸ばしきることを、まず意識する必要があります。それは、膝が緩むと床反力を生み出すための力が減少しなおかつ、生じた床反力を効率良くバーに伝えることもできなくなります。また、つま先立ちを意識するあまり、しっかり床を押すことより、つま先立ちになることが優先される場合があるからです。

世界で戦う選手たちの動きを分析すると、ファーストプルから骨盤が前傾している状態を維持したまま最終姿勢になっていることが多い。これは骨盤が前傾し、背筋を緊張させることによって、背筋全体にバーの重量をしっかりかけ、僧房筋から腕にかけて余分な力をいれることなく、自然な姿勢をとることができるようになるからです。


3.バーを自分のポイントに誘導する

スナッチやクリーン動作で、バーが鉛直上向きの力を床反力から効率よく受けるための身体の使い方については、床を押す瞬間に各関節部位に力を入れておき、身体全体が床に対して垂直になっていることが大切になります。膝関節、肘関節が十分に伸びきっていること、腰部では骨盤が前傾したままの姿勢でいることなどが大切になってきます。肩の使い方については、シュラッグ動作(僧坊筋でバーを引き上げる動作)がバーを自分のポイントに誘導するための大切な動きになります。このシュラッグ動作が起きるときに、鎖骨の付け根部分の位置が身体の中心よりやや後ろ側で行われなければいけません。僧坊筋を耳の付け根の方向に向かって引き上げるようにすることが大切です。このポイントを意識してシュラッグ動作を行うと、後背筋群の筋肉を緊張させておく必要があることがわかります。

 スナッチやクリーンを行うときに、バーを移動させたい方向への誘導をこのシュラッグ動作で行います。このシュラッグ動作を有効に行うと、次のキャッチ動作がスムーズに行うことができます。

 スナッチやクリーンでは、このシュラッグ動作によるバーへの誘導は腕が伸びきった状態で行うことであり、それ以上、腕でバーを引き上げようとしても、バーに加速が与えられないので、腕を曲げながらバーを引くことは行わない。その動作を行うことによって、次のキャッチ動作への移行が早く行えず、結果的に失敗する確率が高くなることになる。また、バーを鉛直上向きにシュラッグ動作で誘導後、腕による誘導を行うことによってバーに円運動を引き起こす可能性があり、この点に置いても腕の曲げによるバーの誘導は行わない方が良いと考えられる。

 また、シュラッグ動作を行うときに、身体が後方へ倒れていくような姿勢をとる場合があるが、これはバーが鉛直上向きに上がるために必要な動作になる。身体が後ろに反ることによってバーが上方向に上がることではないので間違いのないようにして欲しい。


4.
バーのキャッチ

床をしっかり押し、それによって起こる床反力を身体が効率よく伝え、シュラッグ動作によってバーを自分のキャッチのポイントへ誘導を行った後は、できるだけ早くキャッチするポイントへ身体を移動する必要がある。このキャッチにはやはり下半身の安定が大切になってくるため、足→脚→腰の順にキャッチポジションへの移動を行わなければならない。バーの位置は主に肘や肩で感知し、その位置にあわせてキャッチの姿勢を作っていく。スナッチもクリーンもバーが最高点に達したところでできるだけ早く肘をバーの真下よりやや前に入れ、その点を基準にしてキャッチ姿勢を整えていくことが大切である。



5.
まとめ、

 以上のように、ウエイトリフティングの基本として
   @     足で強く床を押し、大きな床反力を得るようにすること。

    (膝をしっかり伸ばし、骨盤は前傾させしっかりと床を強く一瞬で押す
A     床反力を効率よくバーに伝えるための身体の使い方を身につけること。

   (肘、膝をしっかり伸ばし、骨盤を前傾させたまま,上方向に生じた力をバーに伝達すること)
  B シュラッグ動作によって自分のキャッチポイントへのバーの誘導を行うこと。

   (バーを鉛直上向きに誘導するようなフォームの獲得を目指すこと。
C キャッチポイントを肘などの自分で作ったセンサーを使って、床から上に向かってキャッチ動作を作っていくこと。

 (バーが鉛直上向きに加速されている間に、できるだけ早くバーに下に入り、最適なキャッチ姿勢を作っていく)

以上の4点が重要である。