いよいよフェリーに乗り込む。八戸から苫小牧まで8時間。
いしけんとかんちゃんはすぐに毛布を借り寝る気満々。薮ちゃんはここぞとばかりにビールを飲みだし、北海道上陸まであと僅かという状況に高ぶる想いを抑えきれず、いつものとおり酔った勢いで語り始める。
そうこうしてると、知床半島が世界遺産に登録されたという一報を受ける。この知らせに3人は「明らかに風は我々に吹いている」と確信する。

3人が乗ったフェリーはちのへ号 さよなら本州
十分に休養をとり苫小牧に上陸、薮ちゃんの運転で出発。車の数の割りに異常に大きな道路に度肝を抜かれ、北海道の雄大さを実感。途中ローソンを見つけると早速寄ってマップルを購入。この旅が終れば2度と使うことはないと思われるが、この数日間生きて帰るためには必要だと話し合う。この後比較的スムーズに北海道を廻れたのだが、それはこのマップルのお陰と言っても過言ではない。余談ではあるが、薮ちゃんといしけんは「めぐりあい千葉」で千葉に行ったときもマップル「広域首都圏版」を買っている。この旅の道中でも下道で東京を通った際に役立っている。正にこの年の二人の「導きの書」と言えるだろう。
その後「羅阿麺館」というラーメン屋に寄り味噌カレーラーメンなどで腹ごしらえ。注文後に羊肉入りのラーメンがあるのを知ったことに少し後悔する。
腹ごしらえもして最初の目的地の阿寒湖に向けて出発。北海道の西から東を横断するその道中は夕張までしか高速道路がなく、次の高速道路がある十勝清水まではひたすら峠道である。この峠道では坂道でも前の車を次々と抜いていくトラックを目印にして走っていたのだが、そのトラックの排気ガスが煙幕のように激しく、運転していた薮ちゃんはかなりの嫌気がさしていた。気を紛らわそうにも周りは木ばかりで真っ暗である。しかしこのトラックの速さは旅を急ぐ3人は捨てがたく、ほとんど最後まで付き合うことになった。このトラックにより、北海道では前の車が遅い場合は後ろの車のためにも追い抜かなくてはいけないのが礼儀ということを学んだ。
十勝清水に着き再び高速道路にのり、途中で運転はかんちゃんに交代。前方後方どころか対向車すら見かけないことに不安を感じつつ、高速道路は足寄でおわり再び下道に。しかし信号どころか交差点すらないため高速道路となんら変わらず、久々のマニュアル車で下道に怯えていたかんちゃんも気分良くドライブ。次第に動物注意の標識が増え始めると、それに呼応し気持ちも徐々に高まっていった。
早朝3時、予想以上の早さで阿寒湖に到着する。