大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

飛騨方言に平板式形容詞は存在するのか

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結論ですが、存在はしないでしょう。飛騨方言においては形容詞はすべて起伏式・中高です。 ○●で始まり、▼○の二拍で終わるのです。 飛騨方言はアクセント学概論では東京式内輪系に属するのですが、 形容詞が平板式か起伏式かという点については、天下のNHK様の平板式アクセント(後述)は 飛騨人にとっては寧ろ関西風に響くのではないでしょうか。

前置きはさておき、実例ですが、三省堂アクセント辞典には、 あかい○●●・おもい○●●・つめたい○●●●・かなしい○●●●、以上の四品詞を 東京式アクセントの平板式形容詞の代表として記載されています。 飛騨方言でこのように発声する事はないでしょうねえ。佐七は絶句します。 飛騨方言では三拍品詞なら○▼○、四拍品詞なら○●▼○、が大原則なのでは ないでしょうか。

勿論、飛騨方言でも例えば、あかいはねぼきん○●●●●▼○○、 といいますが、それでも、はねがあかい。○●▼○●●。、とは言いませんね。 飛騨方言では○●▼○▼○。

不可解なのが三省堂アクセント辞典の付帯説明で、 東京では上記の四つの形容詞は伝統的には平板型形容詞なのであるが、 若者層では起伏型のアクセント・つまりは飛騨方言のアクセント、であるとの由。 私が飛騨方言と定義するのは戦前からの伝統的な飛騨方言のアクセント、 という意味です。アクセントは京阪式の正反対です。 (でも飛騨方言よ、三省堂様によればお前は実は東京の若者言葉だったのかい。 お前をみなおしたぜ。) 元へ、従って、飛騨方言においては平板型形容詞は存在しない、と筆者は直感します。 純東京式内輪系の飛騨方言とて、この点はNHKのアクセントと著しく異なる点でしょう。

つまりは戦前からの飛騨方言は、アクセント則が概して単純という事なのでしょう。 京言葉のアクセントは難しい。NHKのアクセントは楽、更にNHK式の中の 例外アクセントを省いたのが飛騨方言なのでしょう、ただし形容詞のアクセント則に限っては。

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