大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

明治書院・現代日本語方言大辞典全九巻

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私:手元に二つの方言大辞典がある。ひとつは現代日本語方言大辞典全九巻(以下明治書院)。本文六巻の上に索引本が三巻、合計九巻。日本最大、いや世界最大の(日本語)方言辞典かな。完成が平成4年。
君:もう一つの宝物、小学館日本方言大辞典(以下小学館)は全三巻ね。語彙数は明治書院が小学館を凌駕するのね。
私:いや、どっこいどっこい。むしろ音韻変化、方言量のチェックなどは小学館が使い勝手がよい。
君:では明治書院の利点は?
私:何と言ってもアクセント。何故、百科事典のような方言辞典になったのかというと、一つの言葉に対し全国各地のアクセントを漏らさず記載しているから。
君:それは凄い。全ての県にまたがっているのね。
私:一つの単語ごとに北は札幌から南は八重山の鳩間まで、72点のアクセントが記載されている。
君:うーん、それは凄い。
私:然も全国の話者に直接、取材することにより得られた資料。現地調査は17年に及んでいる。
君:岐阜県は?
私:飛騨方言に関心ある僕としては少しばかり残念。実は72点に飛騨は含まれていない。
君:でも一か所はあるのでしょ?
私:そう。一人の男性。岐阜市の明治36年生まれの農業男性。彼のアクセント調査。
君:つまりは全国で72人という事ね。
私:それがそうでもない。全体で五百人ほどの表がある。ただし奈良県でざっと百人という具合に、地域によって随分と人数に開きがある。近畿に次いで南西諸島の話者も多い。これもざっと百人ほど。
君:どうしてそうなったのかしらね。
私:詳しい経緯は書かれていない。編者は平山輝男先生。当時東京都立大学教授。科研費、つまりは国費によってこの壮大な全国アクセント調査が遂行された。
君:成果を一言でお書きしてね。
私:このような地道な調査により、幾つかの方言地図が完成した。アクセントのみならず、音声特色、方言文法などの地図が完成した。これらを眺めているだけでも楽しい。詳しい内容についてはいずれまた。
君:ひとつ残念な事と言えば、折角このように調査したにもかかわらず、アクセントも含めて多くの方言がすでに消滅している、という事ね。ふう

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