金田一春彦著、日本語方言の研究 [単行本]、東京堂出版、
比較方言学と方言地理学の章から抜粋( pp 47-50)、
- 規則的変化の法則 同じアクセントに属する語は意義・語源・品詞に関わらず、
同じ方向に変化する。
- 変化不跳躍の法則 アクセントの変化は聴覚的に類似した他の型へという
方向で行われる。
- 発音容易化の法則 アクセントは発音の困難な型から容易な型へと変化する。
- 同化の法則 拍の高さは直前の拍と同じ高さになろうとする。
- 語頭低下の法則 語頭に高の拍が続く場合、最初の高は低になろうとする。
- 滝後退の法則 ひとつの型の滝は後の拍に移ろうとする。
- 平調化の法則 下降調の拍は高平調の拍になろうとし、上昇調の拍は低平調の
拍になろうとする。
- 統制的機能
- 語頭隆起の法則 語頭に低の拍が続く場合、最後の低を除き高に変化しようとする。
- 山の一元化の法則 一つの型に二つの山かあれば、後の山は消滅しようとする。
- 滝消失の法則 語頭の滝、語末の滝は消失しようとする。
- 型の平行変化の法則 一つの型にある方向への変化が起こる時、
同一の性質を持った型も同一の方向に変化しようとする。
- 型統合の法則 二つの聴覚上類似の型は合流して、一つの型になろうとする。
- 型分裂の法則 同一の語に属する語の一部だけがある方向に変化する事がある。
- 体系的均衡の法則 アクセントの型全体は互いに体系としての均衡を保とうとする。
- 例外についての処置の法則 ある語のアクセントが個別に
変化する場合は、類推その他の心理作用が働くか、または
他の言語体系から輸入された場合である。
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