大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

心理学との関係

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私:飛騨方言は東京式アクセントなので、僕は畿内アクセントの話者との会話においてのみアクセントの東西対立を意識する。
君:飛騨の田舎から首都圏へ行ってもアクセントを意識する事はない、という意味ね。
私:その通り。またその一方、僕が首都圏へいっても畿内アクセントを耳にすると、おっ関西人だな、と意識すると言いかえてもよい。そもそもがアクセントを意識する、というのはどういう事なのだろう。
君:心理学の面から考えると、という意味ね。
私:その通り。家内は名古屋の出身、私は飛騨の出身、中京圏という事で、ほぼ東京式、従って夫婦の会話でもアクセントを意識する事は無い。おかしいと思わないかい。
君:同アクセント圏の人同士の会話ではアクセントが意識される事はない、という不思議ね。
私:実際には家内も私も日本語という高低アクセントで夫婦の会話をする。お互いが同一のアクセント表を心の中に持っている。心の中はどうなっているのだろう。そこで出てくるのがメル単位。
君:メル単位?
私:音の高さは周波数が規定する事は高校物理で学ぶ。ただし、そこまで。人が感ずる音の高さは周波数には正比例しないんだ。ヒトは低い周波数はその差が大きく感ぜられ、高い周波数は差が小さいと感ずる。ヒトが実際に感ずる音の高さはメルという単位で表す。1000Hzの音(聴取者のしきい値から40dB上)を1000メル(mels)の音高と定義する。メルは周波数に対して対数関数で表される。逆に周波数はメルに対して e 関数で表される。どの程度のメル尺度の差をアクセントと感ずるか、ネットには音楽関係、音響工学、科捜研、言語聴覚士等々の方々から各種の情報が発信されている。

君:いいから結論を簡単にお願いね。
私:とても優れた聴力の人で5メル位の差が聞き分けられるそうだ。歌や音楽を聞いて半音階が聞き分けられない人はいないだろうから 1000/13= 77 mels の差は誰でも聞き分けられるレベルだね。まあ、その中間をとって30-40 mels の差位なら誰もが日本語アクセントとして聞き分けられるレベルかな。
君:個人差ってあるのでしょうね。
私:そうそう。NHKアナウンサーはアクセントは相当に気を使ってお話しなさるでしょう。従ってやや大きめのアクセント差で、つまりはメリハリのついた話し方で、半音階位に近いような差でお話しなさっているのかも。
君:声の低い人は少ない周波数差でアクセント発音が出来るし、逆に声の高い人はより大きな周波数差で話さないとアクセントが聞きづらいという事になるのじゃないかしら。
私:つまりは男性はアクセントを発するのに女性ほどはエネルギーが要らなさそうだね。
君:ほほほ、大人は声変わりしていない子供ほどはエネルギーが要らなさそうね。
私:心理学的には、アクセントを重要と考える人はそう考えない人より、より多くのエネルギーを要するという事ではないだろうか。
君:多分、東京式アクセントの左七君が畿内アクセントで話そうとすると、彼の脳みそは77メルで話し続ける事に疲れてしまって途中で降参ね。ほほほ

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