大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 文法

あーれこーわいさ、に見る飛騨方言のリズム論

戻る

飛騨方言の代表的な言い回しに、あーれこーわいさ、というものがあります。 飛騨方言でこわい、という形容詞は、恐ろしい、厭う気持ちではなくて、 恐縮して、かたじけなく思う場合に用います。 形容詞・うたてい、も古語にあります、恐ろしい、厭う気持ちを表すのでは なく正反対に、有りがたい、うれしいという場合に用います。

そして、あーれ、または、こーわいさ、と長音になる事がしばしばです。 ネット検索しますと、飛騨方言による発信以外に見当たらず、 典型的飛騨方言の言い回しという事になりましょう。 問題は、なぜ長音になりやすいのかという事ですが、 やはりそのほうが、七五調、四分の四拍子、ワルツ、 八分の八拍子のいずれかになってリズムに乗って話せるからに ほかなりません。

私めが、一番リズムに乗りやすいのは四分の四拍子です。 下の例ですが、じっと眺めているとやはり規則が 見えてまいります。七五調では、あがってさがる、の繰り返し のようです。ちゃえ、は全角三文字になりますが、勿論二拍の 言葉ですのでやむを得ず ChaE というように半角四文字としました。

ところで七五調といっても、実は一息いれますので、つまりは 実は休符を表示していないだけで、つまりは実は四分の四拍子という 事ですね。白状しちゃいました。
七五調
1234567 1234567 12345
▼○○●▼○○ ○▼○○▼○○ ○●▼○○
あれこーわいさ ほんとすまんさ うたていさ

▼○○▼○▼○ ○●▼○▼○▼ ○●▼○▼
あれこわいえな ほんとすまんな うたていな

四分の四拍子 12345678 12345678 ▼○○●▼○○○ ▼○○○○休休 あれこーわいさー えんがいなー ○▼○○●▼○○  あーれこーわいさ ▼○○▼○▼○○ ▼○○○○休休 あれこわいえなー えんがえなー ▼○○●▼○▼○ ○▼○○○○休休 あれこーわいえな えーんがえな ○▼○○▼○▼○ あーれこわいえな
三拍子ワルツ系 123456789012 ○●▼○▼○○●▼○○○ あーーれまーこーわいさー ○●●●●▼○▼○▼○○ ほんとーにーすまんえなー
八分の八拍子 1234567890123456 ▼○○●▼○▼○○○▼○休休休休 あれこーわいこっちゃなあ
○=低、●=高、▼=アクセント核。

ページ先頭に戻る