今日も何かひとつ書こうと机に向かったのですが、毎度、語彙・語源でも能が無いので、今日はアクセントのお話を。三歳になる孫がいますが、逢うたびに助詞・助動詞の数が増えて大分、日本語らしくなっています。前置きはさておき。
外国人にとっては助詞ひとつをマスターするのも大変でしょうね。ましてや複合助詞ともなると。「かな」は詠嘆の助詞「な」が疑問の助詞「か」に接続した複合助詞ですから、意味としては疑問+詠嘆という事にはなるのでしょうが、広辞苑第六版の記載は、★一つは不確かな点を確かめる意で自問あるいは相手に問う事「消えたかな」「これを知ってるかな」、★★もう一つは願望の意「何かいい事ないかな」、以上でした。あれれ、という事で、★★★飛騨方言で日常的によく使われる言い回しに更にもう一つ、確認+詠嘆があるのです。つまりはこの辺りが正に共通語と飛騨方言との微妙な違いで、各種の方言資料にはなかなか出てきにくい事でしょう。例えば消えたがな?あんた、これ知っとるがな? なんかええごたぁねぇがなぁ。 は広辞苑と同じ用法なので、誰でも理解は可能でしょう。ところで、おりょ、あんねでかい火が消えたがな!あんたぁ火の消し方をよう知っとるがな! と言えば、「おっ、あんなに大きな火が消えましたね。あなたは火の消し方をよくご存じで。」という意味になりますので、疑問ではなく確認の意味です。こうなると、これはもう疑問の助詞「か」ではなく、終助詞「か」の用法ですね。例えば共通語では「誰かと思ったら君か。いや懐かしい、何年ぶりだ。」と言うように使います。つまりは共通語では「あなたは若しかして大西君かな。ああ、そうだ、大西君か。」になるのですが、飛騨方言では「あなたは若しかして大西君かな○●?そうやそうや、大西君かな●○!」 という言葉になります。飛騨方言であれなかれ、会話の流れで相手が何を言おうとなさっているのか、助詞の種類など些末な事ですが、飛騨方言の複合助詞「かな」には二種類あり、疑問の助詞「か」なのか終助詞「か」の違いという事のようですが、要はアクセントが異なるのです。疑問の「かな」は尾高でアクセントの滝は「な」で、これは共通語と同じですが、確認の「かな」は頭高でアクセントの滝は「か」、二拍品詞ならば当然でしょうか。
私に関西方言を語る資格はありませんが、「何処へ行きました?」「馬やがな(競馬場です)。」などという同じアクセントの用法がありそうな感じがします。映画のセリフが耳に残っているのです。広辞苑には東京語以外は絶対に記載しないぞ、「かな」は疑問の用法のみで肯定の用法は日本語として認めない、というスタンスなのでしょうかね。
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