飛騨方言では指示代名詞の遠称はあり、ですが、
彼・彼女を示す場合と物を示す場合には明瞭なアクセントの違いが
あるようですね。彼・彼女の場合は○▼つまり尾高・有核、
その物の場合は○●で平低・無核、です。
早速に思いつくままの内省実験をしてみます。
ありゃはなえです。
○▼ ○●●●▼
ありゃはなこです。
○▼ ▼○○○○
ありゃたくおです。
○▼ ○●●●▼
ありゃたくやです。
○▼ ▼○○○○
ありゃあかい。 あの物・中橋は赤い
○● ●●▼
ありゃあかい。 彼は酒によって顔が赤い
○▼ ○▼○
ありゃあかい。 彼女は酒によって顔が赤い
○▼ ○▼○
内省実験としてはこのぐらいで十分でしょう。
もはや明らかですね。
○▼と発生した瞬間に、物ではありません・人間の
事を話題にしています、と宣言しているわけです。
否、脳の情報処理は、
1.遠称である事を確定する つまり、あり、を選ぶ
2.しかも物ではなく人とする つまり○●・○▼から
○▼を選ぶ
3.言語中枢が声帯の筋肉を動かす つまり、あり○▼、
を発声する
ワン・ツー・スりー、この間一秒以下、瞬時にやるわけですから
やはり飛騨方言はすごすぎる。しかもですな、飛騨人は
ありゃたくやです○▼▼○○○○。
をパッと言える。
いくらなんでも、ありゃたくや○▼▼○○、は
東京語しか知らん人は発音し難いでしょうが・・こんな事いえん飛騨人なんて
ひとりもおらんろ(=いないでしょ)。そやで(=だから)飛騨人は華麗なる民族なんやさ。