高山市公式チャンネル騨高山 家具・工芸品
「伊勢春慶」(復活に願いを込めて) 制作 2004年 長尾正男(伊勢志摩ビデオサークル会員)
日本三大春慶塗と言えば飛騨春慶(岐阜県高山市・飛騨市)、能代春慶(秋田県能代市)、粟野春慶(茨城県東茨城郡城里町)だそうで、その他には伊勢春慶(三重県伊勢市)、木曽春慶(長野県木曽郡木曽町)などがあるそうです。それはさておき、上記の高山市チャンネルで、飛騨春慶という言葉の語りの箇所で、そのアクセントはアウトでしょう、と思ってしまい、びっくり仰天でした。
さて、産地+春慶、という言葉はアクセント学でいうところの分離語、つまりは複合がなく息の切れ目がある言葉(例えば秋の七草)に相当するのでしょうね。上記の伊勢春慶の動画では典型的な畿内アクセントでお話しだと思います。つまりは四拍の単純語たる春慶という日本語は、伊勢方言では頭高アクセントで、アクセントの滝(急に下がる箇所)は、し、です。
ところが飛騨方言では東京式外輪アクセントなので、春慶のアクセントは尾高〇●●●で、アクセントの滝は、い、です。まさかとは思いますが、つまりは高山市チャンネルのナレーションでは伊勢春慶●〇●〇〇〇の畿内アクセントにつられてしまったという事でしょうか。つまりは同動画の中で、飛騨春慶〇●●〇〇〇というアクセント、つまり中高アクセント、つまりは伊勢方言と同じくアクセントの滝が、し、で発音しておられるのは明らかな間違いではないでしょうか。以下に根拠をお書きします。
春慶をキーワードに他の動画も聞いてみましたが、やはり飛騨方言ネイティブの方々は春慶のアクセントは尾高で話しておられます。となると、例え6拍もの長い言葉であったとしても、高山市の公式チャンネルである以上は、飛騨春慶という分離語は由緒正しく尾高アクセントで話していただきたいですね。内容が素晴らしいだけに、アクセントが如きでケチはつけたくない気持ちもありますが、飛騨春慶の歴史は400年なれど、飛騨方言のアクセントには一千年の歴史があるのです。更にひと言、つい間違われたようですが理解できなくもないのです。若しかして雲慶快慶のアクセントを引きずったのでは。下衆の勘ぐりですが、これも方言学。 |