大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム |
ひのき檜 |
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僕:昨晩は樹木「とち橡」のアクセントについて話した。追加でお書きしたい事が一点ある。 君:昨晩の記事を書きなおしたらどう。 僕:いや、敢えてここで。手元に三つのアクセント辞典がある。NHK(1998第一刷)、新明解(2006第十刷)、NHK新(2016第一刷)。 君:三冊は不要なんじゃないの。 僕:そこが問題なんだよ。金田一春彦先生の著書を引き合いに出すまでも無く日本語アクセントには一千年以上の歴史があり、アクセントの本質は不動・頑固・固定。京都式アクセントは千年生き延びてきた。かと思いきや、ここ数十年の日本人のアクセント変化には驚くべきものがある。それを如実に示すのが、この三冊。「とち橡」は元々が尾高(NHK(1998第一刷))、それがNHK新では頭高。 君:つまり「とち橡」の左七の飛騨アクセントは昭和のNHKアクセント。ところが全国的に頭高となり、標準となったのが平成・令和。 僕:そういう事。では本日の話題、やはり樹木で「ひのき檜」のアクセント。左七は頭高。ところがNHK新(2016第一刷)は尾高。 君:つまりはあべこべだけど、実はNHK(1998第一刷)、新明解(2006第十刷)の「ひのき檜」は頭高だったのね。 僕:要はそういう事。この数十年、僕はアクセントを変えずに当時のNHK式なのに、「とち橡・ひのき檜」に関しては世間様が変わってしまったという事。 君:実はアクセントは変化するもの・それに気づかないあなたの頭は保守的で硬かった、という結論ね。 僕:そう言えなくもない。素直に認める。というか、このサイトで(飛騨方言の)アクセント学を始めるまで、まったく気にしていなかったというのが真相。 君:流石に貴方でも「檜風呂」は平板でしょ。 僕:勿論だ。僕の場合は「ひのき」単体では頭高アクセントだが、これが修飾語となれば平板アクセントになるのは当たり前の事。日本語のアクセントはそもそもがそういうルールになっていて、それはアクセント学の成書に書かれている。 君:それじゃあ「総檜」はどうかしら。 僕:勿論、僕の場合「ひ」にアクセント核がある。何故ならこの場合「檜」は被修飾語であって修飾語ではないから。ところが現代のNHKアクセントは「檜」単体が平板だから、「檜・総檜・檜風呂」この三単語は全て平板になるのか。やれやれだね。昨日まで全然気づかなかった。 君:でも気づいたのだから良かったじゃない。 僕:アクセント学の本に書かれているイロハだが、ここ数十年で数拍名詞の頭高から平板への変化が著しい。将来的には日本語の名詞は全て平板化すると未来予測する国語学者もおられる。となると「ひのき檜」のアクセント変化は、割合と時代の流れに沿った素直な変化と受け止める事ができる。問題は「とち橡」だな。かつて尾高だったのが、今じゃ頭高だからね。やれやれ、世の中はいったいどうなってんだい。 君:このサイトの情報は全て左七の主観によるものである、という事よ。 僕:その通りです。そこでいつもの決め台詞。 君:若し間違っていたらゴメンネ。ほほほ |
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