大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

けなげ健気(名)

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僕:先ほどテレビを見ていてドキッ、「ケ\ナゲ」とは。飛騨方言では平板だ。頭高は奇異に感ずるね。「けなげ」の語源は形動ナリ「けなりげなり異為気也」だったと思うが。
君:ええ、確かにね。他に「〜け気」の名詞ってなかったかしら。
僕:あるよ。「〜なけ気」は二つだけ。かなけ金気、おんなけ女気。動詞連用形+「け気」だと「くいけ食い気、はきけ吐き気」など。形動ナリだと「いたいけなり」から「いたいけ幼気」。名詞+「け気」は「かぜけ風邪気、じゃまっけ邪魔気、ちゃめっけ茶目気、おとなげとなげ大人気」。まだまだありそうな気がするが切りがない。
君:なるほど、確かに「け\なげ」は異質と言えなくも無いわね。
僕:ちょっと的外れかもしれないが動詞連用形では「受け\」。若しかして「けなりげな\り」ならば「けなりげ」になろうから、飛騨方言のアクセントは古く、つまりは畿内アクセントであり、東京式「け\なげ」は新しいという事になるのでは。
君:さあ、どうかしら。現代語の畿内アクセントと金田一春彦著「平曲考」の知識が無いと解析が難しいわね。
僕:次々と判明する飛騨式アクセント(東京式内輪系)とアクセント辞典のアクセント(東京式外輪系)との違い。飛騨方言はざっくりと考えると東京式だが、ここ数日は違いばかりがやたらと気になって、NHKニュースを観る時は片時も気を抜けない。
君:ご苦労様。現代社会においては東西の差はなくなりつつあるのに、アクセントの違いって意外に沢山あって、気づかないで見過ごされている場合が多いという事かしらね。
僕:その通り。アクセントを聞き分けてやるぞ、という心構えが大切だ。
君:健気な心。ほほほ

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