飛騨方言では、あなた、のことを、わり▼○、あるいは、
おみ○●、というのですが、
前者は、我・われ▼○、が語源で、後者は、
おまえ○●●、が語源なのでしょうね。
一部の飛騨方言資料には、おみ、の語源は、御身・おんみ・おみ、
かとの記載がありますが間違いでしょう。
飛騨方言では、おまえ、おまい、おめえ、等々も
用いられますし、以下のようなフレーズも
ありましょう。例えば、
おまいさま お前様
○●●●●
おまいんた お前達
○●▼○○
おまえんた お前達
○●▼○○
おまいた お前達
○●▼○
おまいんどこ お前の所、つまりあなたの家
○●●●▼○
おみゃー お前は
○●●
おまへ、が対等あるいは目下に対する対称人称代名詞に
出てくるのは近世後期以降です。
従って、全国の方言となっているであろう事、
が容易に推察されます。
一方、古語辞典の記載を信ずる限りは、
おんみ・御身、については、おからだ・あなたさま、
等の意味どまりであった、という語彙史なのでしょう。