大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

、お\ね

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僕:昨晩は飛騨方言「さこ」の語源が気になり調べもの。先ほどはそのアクセントについてちょいと書いた。ならば、まてよ、と思い気づいた事がある。ふふふ
君:サコは山の地形用語。サコがくぼんだ所ならば、出っ張った所は尾根ね。
僕:その通り。
君:ふふふ、について説明お願いね。
僕:尾根は飛騨式アクセントじゃ平板か尾高だよね。ところが現代語というか、NHK式は頭高でしょ。
君:あべこべだから面白い、程度じゃ国民の皆様はそっぽをお向きになるわよ。
僕:よくぞおっしゃった。ヒントは表題。何が書いてある?
君:何よ、その言い方。どうもはっきりしません、と書いてあるわ。
僕:違う。こういうのを両論併記というのだ。要はどちらも正解。
君:それでは意味不明。具体的に説明してね。
僕:はいはい。手元に三冊のアクセント辞典がある。最新のもの、つまり新NHK辞典(2016)は頭高の記載のみ。あとの二つ、旧NHK(2007)と三省堂版(2006)、は両論併記なんだ。
君:つまりは 2006-7 辺りは平板・尾高もありだったのが、2016には急速に頭高一本に絞られたという事ね。
僕:そうなんだよ。大発見。がはは
君:重箱の隅を突っついたようなお話ね。
僕:ははは、何とでも言え。君に貶されれば貶されるほど僕の学問に対する情熱が湧く。尾根のアクセントを考えるだけで日本語の悠久の歴史が見えてくる。
君:しまった。そういう事ね。
僕:そう。そういう事。要するに僕が言いたい事はわかるよね。
君:ええ、わかるわ。サコは必ず尾高だけれどオネは頭高・尾高の両方がある理由が。
僕:国民の皆様をこれ以上にじらすのはよくないね。
君:ええ。
僕:要は尾根は尾+根。を尾、ね根ともに和語。従って尾根は和語+和語の二拍名詞。その一方、サコ勢子は漢語+和語。これ以上の説明は要らないね。
君:和語といえば記紀と万葉集ね。
僕:ヲ尾は記紀に動物のシッポの意味で出てくる。峰・丘の意味で出来るのは古今あたりから。ネ根は記紀にも万葉集にもウジャウジャ出てくるね。
君:肝心の尾根の語誌はどうなのかしら。出典は?
僕:ふふふ
君:うーん、答えるまでも無い事で上代語という意味かしら。
僕:ふふふ
君:えっ、ドキッ!私、今、変な質問をしちゃったのね。中世以降だったのね。
僕:ははは、それだけは合ってるぞ。
君:なによ、その言い方。さっさと答えをおっしゃいな。
僕:角川古語大辞典全五巻はじめ、古語辞典には一切、出てこない。日本初の明治の辞書・言海にも記載無し。大言海(昭和5)に「をねづたひ」が登場する。つまりは尾根は昭和初期の近代語。江戸時代じゃないんですう。言っている意味、わかるよね。
君:なるほど。尾根の語誌は昭和に始まるので、要は日が浅く、だから二通りのアクセントが生まれ、平成の終わりに頭高に統一されたという事なのね。
僕:要はそういう事。尾根というのはメチャクチャに新しい言葉という事が判明したんだよ。
君:へえ、そうだったの。昨日に知ったのね。
僕:いや、違う。数分前だ。これって若しかして知らない人、多いんじゃネ??!慌ててこの記事を書いた。だから書いたのも数分。当サイト記事は全て本邦初公開のものばかり。
君:ほほほ、何とも早、チョイと重箱の隅のお話をチョイと書いただけね。

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