大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

とち橡・とちのき橡木

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僕:先ほどNHKBS放送の日本の自然紹介番組を視聴していて思わず目が点。
君:ほほほ、アクセントね。
僕:うん。NHK式というか東京アクセントでは「とち橡」も「とちのき橡木」も頭高だった。ただちにアクセント辞典で確認した。
君:あなたがアクセントを間違えていた理由がわかるわ。
僕:そう、飛騨の人間なら誰でも知っている郷土のお菓子「とちのみせ\んべい」。つまりはこの複合名詞の前項名詞「とちのみ」で平板アクセント。必然的に左七のアクセントは「とち\」と「とちの\き」。
君:つまりは共通語では同音異義語たる頭高「とち橡」と尾高「とち土地」という事でアクセントで弁別しているのに、左七は子供のころから「橡・土地」両方ともに尾高で発音していたのね。
僕:正直言って、山国育ちの僕だが、樹木の見極めが苦手。というか知らないといったほうがいいかな。僕の町には「安らぎの森」という名の広大な市民公園があってうっそうとした樹木の山もあり、毎日のように散歩しているが、名札がつく木もある。和名以上に併記されているラテン名、つまりは学術名 Aesculus turbinata のほうに興味がある。命名者は植物分類学の父・リンネ。Japanese Horse Chestnut だな。
君:でも昔懐かしい郷土のお菓子「橡実煎餅」も忘れ難いのよね。
僕:勿論だよ。ところで、少し気になる事がある。今日ここに紹介したアクセントは僕の癖だけなのか、或いは飛騨方言のアクセントについて書かれたものは皆無に等しい。共通語では「とち橡」は頭高という事が判ったが、共通語では飛騨のお土産「橡実煎餅」はどのようなアクセントになるのかな。
君:「橡実」は修飾語、「煎餅」は被修飾語だから、前項部分にアクセント核無し、やはりアクセント核は「せ」だと思うわ。
僕:だろうね。今、アクセント辞典を見た。塩煎餅、瓦煎餅の記載があり、ともに「せ」がアクセント核だった。
君:ならば海老煎餅、胡麻煎餅、たまり煎餅などもそうね。ところが、塩・瓦・海老・胡麻・たまり、すべてがなんと元々が尾高。これじゃあ左七が間違えるはずよね。ほほほ

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