大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

やり\槍・やりがたけ槍ヶ岳

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僕:飛騨人が誇れるものと言えば豊かな自然、山くらいかな。岐阜県の最高峰は奥穂高岳(全国三位)3190m、続いては岐阜県二位(全国五位)は槍ヶ岳3180m。但し両山とも長野県境の山。純粋に県内最高峰となると笠ヶ岳2897.5m(全国34位)。
君:何を言いたいわけ?
僕:槍の恰好をしているから槍ヶ岳。平板アクセントだ。槍ヶ岳を省略して「ヤリ」という事もあるが、この場合は頭高アクセントになるな。一般名詞の槍は「や」で平板アクセント。つまりアクセントの違いで固有名詞たるヤリ(槍ヶ岳)と一般名詞たるヤリ(槍)を区別している。
君:ほほほ、この理屈が笠ヶ岳には使えない、という事をおっしゃりたいのよね。
僕:その通り。固有名詞たる笠ヶ岳の略称という事で「カ\サ笠」と言ってもよいだろうが、一般名詞もそもそもが「カ\サ笠」なので、「カサ」という音韻は固有名詞・一般名詞ともに同アクセント。つまり区別がつかない。例文を出そう。「かさをさして、かさのかさぐもをみる」、これを漢字かな交じり文にすると、どうなるかな?
君:傘をさして笠(=笠ヶ岳)の笠雲を見る。
僕:そう。笠雲とは孤立した頂をもつ山の山頂付近に発生する笠状の雲。富士山が有名だが、笠ヶ岳でも見られるね。
君:笠ヶ岳は山そのものの形が笠状だから笠ヶ岳でしょ。
僕:それもそうだが、富士山だって、あれはどう見ても形は笠状だぜ。
君:ほほほ、富士山が母笠ヶ岳で、飛騨の笠ヶ岳は娘笠ヶ岳ね。
僕:あれっ、富士山が女性だってよく知っていたね。
君:木花咲耶姫(このはなさくやひめ)。女性の神様。
僕:実際のところ、岐阜県の笠ヶ岳には別名が無い。略称があるのみ。笠ヶ岳は実は志賀高原と岩手県の二か所にもある。
君:一般的には笠ヶ岳と言えば岐阜県の笠ヶ岳を指すのね。
僕:その通り。駒ヶ岳は日本にふたつあるので、甲斐駒と木曽駒で分けて話すと混乱しない。
君:それにしても全国津々浦々に、なんとか富士の名前の山の多い事。ほほほ

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