大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

絶滅危惧言語

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私:2023年3月27日より京都に移転した文化庁。時の話題といってもいいね。方言文化の研究が国立国語研究所、方言文化の保存が文化庁の仕事と考えていいだろう。国研は方言の存続に尽力しておられるというよりは滅びゆく方言を克明に研究・保存しておられるという事か。今日は表題を話題にしよう。消滅の危機にある言語・方言
君:具体的にはアイヌ語、八丈語、奄美語、国頭(くにがみ)語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語の8言語の事ね。
私:その通り。ユネスコが認定した,日本における危機言語・方言の分布図
君:ユネスコは世界を束ねているし、日本を束ねるのが国研ね。
私:だよね。UNESCO Project: Atlas of the World's Languages in Danger and Endangered Languages and Dialects in Japan
君:記事の紹介ばかりじゃなくて、貴方のご意見は?
私:当サイトのリンク集を先ほど作った。絶滅危惧言語
君:これらは単なる感傷旅行記よ。
私:まあ、そんなところだね。実はまだ仕事をしていて自由に休みが取れない。連休にちょいと飛行機でひとっ飛び、トンボ返りの旅行なので収穫はゼロに近いが、そもそもが・・行った事のない島の空気を吸って郷土料理を食べてきたい・・という動機だから、方言学の収穫が無くてもあまり気にしていないが。
君:今日は取り留めのない話ね。
私:飛騨方言は果たして将来に絶滅するか、という命題はどうだろう。答えは明白。
君:ほほほ、つまりは絶滅はしないのね。
私:二つ理由がある。
君:ヒントを言ってみて。
私:気づく・気づかない。
君:なるほど、気づかない方言ね。
私:そう。気づかない方言が成立するにも、幾つかの条件がある。当該方言が共通語と近似していて東京語の話者にも容易に理解できるものである事、気づかない方言を話す人口が数万規模の一程度以上ある事。飛騨の人口は二十万人に足りないが、一つの方言を維持していくには十分な人口だ。
君:もうひとつは?
私:ヒントは死語。
君:なるほど、死語の反対語は生き延びる語彙という事で、新語・活語などね。
私:重要な生活語彙なども決してなくならないだろう。飛騨に雪が降る限り「ゆきまたじ(=雪かき)」の言葉は不滅だ。逆に言えば生活上、必要のない言葉は容赦なく死語になる。飛騨では農耕の言葉や、牛馬に関係する言葉とか。要するに戦前戦後辺りの語彙、昭和以前の言葉だね。
君:でも、飛騨方言は畿内文法+東京アクセント、という事が幸いして、つまりは、飛騨方言は日本人ならほとんどの人が容易に理解できる言語なので、まずは絶滅の心配はなさそうね。やれやれ一安心。
私:そう。僕の興味は失われた飛騨方言、つまりは飛騨方言の死語へと次第に移りつつある。
君:生活に全く関係の言葉を探しては喜んでいるのだから、あなたって本当に変わっているわよ。ほほほ

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