当サイトの辞書コーナーにありますように、実に様々の飛騨方言辞書が既に発表されています。
その飛騨方言の表記について、辞書間での微妙な違いがまた興味のつきないテーマとなってなっています。
やくと(=わざと) という単語については、発音が簡単かつ明瞭なのでこれ以外の表記は考えられないでしょう。
第一音にアクセントがあることを、飛騨方言を知らない方に教えれば直ぐにマスターしていただけると思います。
ところでまめなかな?(=お元気ですか?) というフレーズが上記辞書に記載されています。
高山の方々は現在、普通に"まめなかな?"と日常会話でお使いなのでしょうか。
がしかし、実は私はこの表記に大変な抵抗を感じます。
私の言語記憶中枢にあります、今は亡き祖母の言葉などを思い出深くたぐりますと、
あるいは今も電話でお袋と会話をする、その話し言葉を私なりに敢えて表記しますと、
"まめながいな?"、"まめながいなぁ?"、"まめながな?"、
"まめながぁな?"、"まめながなぁ?"、"まめがな?"、
"まめがなぁ?"、
"まめなけぇな?"、"まめなげぇな?"、
"まめなけな?"、"まめなげな?"、
"まめけぇな?"、"まめげぇな?"、
"まめけな?"、"まめげな?"、
等々
となります。またどれもそれなりに私にとっては味わいある表記なのです。
ですから、多くの飛騨方言辞書に まめなかな? = (はい)これは飛騨方言です、と書かれても、私は一瞬、えっそれ飛騨方言? 何の事かな、豆泣かないで、こまめな加奈ちゃん と考えてしまうのです。
私は高山ではなく、山奥の集落に生まれ育ったのでやはり、村の言葉は高山とは微妙どころか明らかに違っていたのでしょうか。
実は まめ(=元気) は国語辞典にありますので、標準語です。飛騨方言ではありません。
従って 元気かな? という意味で まめかな? と表記しても日本語そのものですので、
表記そのもので飛騨方言であるニュアンスを伝える事は、文章の脈絡でもない限り、難しいでしょう。
ところで、まめなかな? は まめなかいな? が転じた言葉でしょうから、ほんまかいな、そうかいな というTVコマーシャルが
流行りましたが、強いて言うと関西の流れを汲む言葉でしょうか。
これを飛騨方言らしく文章表現するには、やはりそれなりの表記の工夫が必要であると考えます。
簡単な方法としては、まめけな?、 まめなけな?、 などと書きますと明らかに飛騨方言表記となりましょう (i.e., simple is beautiful. )。
さて飛騨は日本の真ん中かな?、背中かな?、ド田舎かな?、夜中かな? これを三回唱えると まめ(な)かな? が完全に
標準語に聞こえてきませんか、皆さん。
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