大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

こもどうふ、こもとうふ

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そう言えば飛騨の料理の名物のこもどうふですが、 うーん、暫く食べていませんね。 ネット販売もあるようですからご興味のある方はどうぞ。 慶弔事のおもてなしになくてはならぬ豆腐でしょう。 方言サイト故、言葉に限ってお話ししましょう。

さて同語をキーワードにネット検索しますと各種の情報が得られます。 各自でどうぞ。また、こもとうふ、薦豆腐、こも豆腐、でも調べてください。 飛騨の名物なれど俚言ではないようですね。 実は全国各地の名物です。 それでも郡上より発信ですが、飛騨から伝わった文化です、 の一言。 がしかしどう考えてもこの言葉は方言なのでしょう、 実は広辞苑に記載は無し。 ところが小学館の方言辞典にも記載がありません。 俗語でもなく、新語でもなく、 なんともはや、珍しい言葉というわけです。

筆者が驚くのはそれだけではありません。 飛騨総合ポータルサイト、いわば公サイトからの発信が、こもとうふ、です。 私の言語感覚ではいかに飛騨方言とて連濁は必ずするやろう、こもとうふ、 なんて大西村でゃあ誰もそわんぞ、という事なのです。 それでも、奥飛騨では現在、こもとうふ、と言うのでしょうね、ふーむ。 ところが謎が謎を生みます。 筆者の蔵書・北飛騨の方言、荒垣秀雄著、国書刊行会、昭和50年、 戦前における旧吉城郡の言葉約三千を記載、 (ネット書店・扶桑文庫から入手 2006.9.14)、 には、こもとうふ、は記載されていません。 つまりは"こもとうふ"は戦後の言葉、あるいはごく最近の言葉であろう、 というのが筆者の大胆な推察です。

くどいようですが、大西村では今も昔も、こもどうふ。 必ず連濁になるのです。 また連濁の規則は国語に準じます。 例えばお隣の村、小屋名の特産品・しょうけですが、 こやなじょうけ、です。 尤も肝っ玉のすわったかあさんを大西村で、〜がかあ、〜がかさ、という事は ありません。肝っ玉かかさ、です。飛騨方言とて日本語だからですね。

くだんのネット検索ですが、こもどうふのヒット件数が、こもとうふのそれを 上まりますが実は全国的に混乱しています。 しかし本当はこれが言いたい、連濁があろうとなかろうと味は同じや、しゃみしゃっきり。 

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