大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

植物方言語彙に関する一考察

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私:2023年にNHK朝の連ドラで牧野富太郎の生涯を扱った事に触発されて約百種類ばかりの草木について語源などを調べた。
君:記念すべき年だったという意味ね。
私:うん。思い出深いね。今回は、そんな半年を振り返って総論という事で。
君:いろいろと知識をコツコツと増やすと、何か全体像のようなものが見えてくる、とでも仰りたいのね。
私:そんな大げさなことではなく、今日は八坂書房。日本植物集成の索引のご紹介。随分、お世話になった。千ページほどの内容で、なかなか読み応えがある。内容は二つに大きく分かれている。なんだと思う?
君:標準語引き内容と方言引き内容、この二つね。
私:正解だ。今日は方言引き内容の総論と行きましょう。
君:一言でお願いね。
私:はいはい。大半の方言、そうだね、ざっと97%の方言に関しては、ひとつの方言にひとつの共通語。
君:なるほど。つまりはその方言は俚言である、という意味よね。
私:ははは、その通り。植物方言語彙の大半は俚言である。つまりその地方でしか意味が通じない。大発見かな?この手の論文って読んだ事がないぞ。誰でもすぐに気づく事なのにね。
君:それで終わっては、むしろ平凡な結論ね。わさわざ書くまでもない事だわ。
私:お言葉だな。問題は残りの数パーセントの言葉だが、これは方言・共通語が一対一で対応していない。これって、どういう事?
君:うーん、ひとつの方言語彙の音韻に対して複数の共通語の意味がある、という事ね。但し、対象は日本全国。ひとつの地域、という事に限定すれば草木の方言語彙は俚言が多いので、これはまさに方言学の問題。
私:そうなんだよ。もったいぶらずに、いきなり結論といこう。ヒントは動物。
君:動物の名前がつく方言という事は・・・・わかったわ、牛と馬ね。
私:その通り。全国を眺めてみると、牛?とか、馬?とかいう方言がやたらと多いんだよ。もっと詳しくお伝えすると、からすとか、要は身近かに動物の名前がつく草木方言が共通語的には多義語になりやすい、という事。これも、若しかして大発見かも。
君:大げさよ。データベース化されていたり、どなたかがとっくにお書きだわよ。
私:うーん、そうかな。意外に誰も話題にしていないようだが。
君:何かに気づいて直ぐに、第一発見者です、みたいな記事はおやめなさいな。
私:何を言ってるんだい。e-publish だ。Polisemic trends of botanical words using animal names (cows and horses) in Japanese dialects. 2023/11/14 01:01 世界初!
君:ほほほ、恥をかくだけよ。

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