大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

植物方言語彙に関する一考察(うし牛)

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私:八坂書房の日本植物集成の索引の内容をご紹介しよう。植物数950余、その方言数は約一万語。
君:日本各地をみるとひとつの植物に平均10個前後の方言があるのね。
私:その通り。ただし今回のテーマは標準語引きではなく、方言語彙引き、その中でも「うし牛」という名前がついたもの。幾つあると思う?
君:さあ、数十かしら。
私:数えるのも嫌になる。ざっと400位だ。尤も、接頭語として「うし牛」がつく草木という意味で、語中あるいは語尾に関しては調べていない。
君:方言語彙がアイウエオ順に並んでいるので、という事情があるからなのね。
私:その通り。自在にデータベース検索できるといいんだがな。
君:そんな事を言いたくて、わざわざ書いているの?
私:いや、そうじゃない。2点だけ、お伝えしたい事がある。
君:手短にお願いね。
私:うん。「うし牛」がつく400ほどの全国の方言だが、接頭語「うし」が2/3程度、接頭語「うしの」が1/3程度だった。
君:なるほどね。もう一点は?
私:柳田國男の提唱した方言量という学術語だが、カタツムリの全国の方言は約250なので、その数字が該当する。その逆の概念で調べてみた。「うしころし牛殺」という方言が一番に多くて18種類の草本を意味していた。他を凌駕する圧倒的に多い数字。蛇足ながら第二位は「うしのした牛舌」で14種類。他はせいぜいが2というところで、全体の八割以上だろうか、対応する共通語は1という方言が最も多かった。
君:いずれにせよ、俚言のオンパレードね。
私:その通り。考えればきりがない。興味はつきないね。以上は多分、本邦初公開情報。
君:つまり方言バカ。ほほほ

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