大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム 

植物方言語彙に関する一考察(うしころし牛)

戻る

私:八坂書房の日本植物集成の索引の内容だが、植物数950余、その方言数は約一万語だが、接頭語として「うし牛」がつく草木がざっと400位ある。その中でも、「うしころし牛殺」という方言が一番に多くて18種類の草本を意味していた。
君:日本全国の草木の方言の中で、最も多義語というわけね。ほほほ、今夜はその要因に迫ろうという魂胆ね。
私:その通り。まずは小学館日本方言大辞典を見た。兵庫県赤穂郡では、魚のかわはぜ(川沙魚)の事をウシコロシというらしい。草木としては16種類の記載があった。かまつか鎌柄というのがウシコロシを意味するのが埼玉、愛媛、高知の一部。なぜウシコロシなのかというと、一つの説としてはカマツカの材で牛の鼻木を作ったためとする説、これを用いて鼻輪用の穴を開けたとする説、牛を追い込むための牛追棒に使ったとする説、枝と枝の間に牛が角を入れると抜けられなくなるためとする説など様々あるそうだ。
君:つまり方言うしころしの代表選手カマツカでも語源は不明。
私:左様でございます。
君:他の草木に関してはどう?
私:きちんと調べる気にもなれない。まあ推して知るべしだね。例えば鼻輪用の木に用いるから、牛が好んで食べる草木だから、牛が決して食べない草木だから、等々。牛にとって有害な草がありますか?を参考までに。
君:なるほど、シキミ、オナモミ、ヤマゴボウ、イチビ。これらの木の方言名はウシコロシ、つまり草木としては16種類の記載の中に含まれるんでしょ。
私:おっ、いい感してるね。僕もそう直感して、よく見たが、すべて外れ。つまり牛が決して食べない草木にウシコロシの方言の草木は実はなかった。
君:あら、残念ね。見事に期待外れ、方言の神様にはお目にかかれなかったのね。ほほほ

ページ先頭に戻る