共通語のようで実は共通語でない形容詞という事で、飛騨・名古屋・京都など全国各地から方言として発信があります。
意味は勿論、味がない、を詰めた言い回しです。
共通語に、あじけ無い、という表現がありますが、古語形容詞・あぢきなし、から来ている言葉です。
ところが、あぢきなし、は道理がない、という原義の言葉のようですね。味とはもともと関係ないのでした。
つまりは、味気ない、という表記は後世の当て字というのが通説のようです。
飛騨方言形容詞・あじない、ですがもっぱら食べ物の賞味に用いられます。
名古屋・京都の方言にも共通します。三通りの意味が実はあるようです。
- 味が全くない、従って本来はその食品に期待されるべき味がなくて、つまりはまずいという意味
- 薄味である、つまりは濃い味が好みの方にとっては期待する味がないという意味で、つまりはまずいという意味
- 味の濃い薄いに関係なく、不快な味がするために、、つまりはまずいという意味
いずれの意味であるにせよ、食べ物がまずいという意味で用いられます。味が薄いのでおいしい、という意味では用いられません。
あるいは人生が味気ない等々の比喩的表現にも用いられません。
蛇足ですが、飛騨・名古屋・京都、ともに形容詞連用形にウ音便が用いられます。
三地域から、あじのうて(=食べ物がまずくて)、という活用形のネット発信がありますが、
極めて稀な言い回しになります。
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