飛騨方言のあさくさ(朝草)とは文字通り、人の朝食前に牛にやる餌として
近くの土手のまだ夜露に濡れた草を刈る事をさします。
飛騨方言としては死語に近いのですが、ネット情報としては、
阿蘇方言・長野方言としても通用します。
朝草刈りも、あさくさ、と同じ意味です。
また、朝食前に簡単にささっと済ます仕事という意味で、
共通語の朝飯前、と同じ意味で、あさくさ、が用いられることもあります。
例えば佐七にとっては夜中に辞書を数ページ繰る事は、
夜なべ仕事というよりは、あさくさ仕事という事になりましょうか。
まだまだ続くよネット情報、朝草は実は方言ではなく、かつての共通語という事で、姪子・伊藤左千夫「野菊の墓」、の一節に、
村の内でも起きて居た家は半分しか無かった、そんなに早いのに、十四五の小娘が朝草刈りをしているのだもの、おれはもう胸が一ぱいになった位だ。
「おう誰かと思ったら、おちかどんかい、お前朝草刈をするのかい、感心なこったねい」
があります。インターネット青空文庫をご参考に。
また昭和49年歌会始お題「朝」に
長野県 佐々木愛作
かんざうのあかく咲く花目印に砥石を置きて朝草を刈る
がありました。極めつけですが、ずばり朝草の地名もみられます。
(浅草じゃないよ、ははは。)
宮崎県児湯郡都農町川北朝草、宮崎県都農町(児湯郡)川北(朝草)
などです。
ここいらでは、まなことじれば思い出す故郷・大西村の土手とたがわぬ光景が(かつては)見られた
のでしょうねえ、今は若しかしてアララ工場が林立していたりして。
ただ有難い事に大西村の光景は戦前と変わっていませんです、ハイ。
ただし朝草刈りは無くなりました。
つまり朝草を食わす牛が大西村では二十一世紀にはゼロ頭也。
|