大西佐七のザ・飛騨弁フォーラム

いんぼ・飛騨方言

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いぼの事を飛騨方言でいんぼ、というのですが単に訛っているという訳ではありません。 古語辞典によりますと、ご飯粒の意味のいひつぼ・飯粒、が変化して、 いひぼ、という意味のめしつぶを示す単語ができて、これの 意味が転じて、体表面に゛できた小さなできものも、いひぼ、というようになったのです。

つまりは、いひぼ、が飛騨方言では、いんぼ、に進化し、その一方、共通語では、いぼ、になったのです。 つまりは飛騨方言はイ音便が撥音便に変化したのであり、共通語では 語の脱落により三拍が二拍になったのではというのが筆者なりの推察です。

また一言でイボといっても原因、病態は各種、つまりは医学名としての いぼを一言でお書きできるものではありません。 皮膚科学の本一冊が要るという事になります。 また厚生労働省サイトに 「疾病、傷害及び死因分類」 があり日本の医師がカルテに記載する病名について情報公開されています。

ついつい堅い話になりますが、 イボに関する膨大なネット情報中、 医師以外の方が書かれる記事のほとんどが 尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)を示しているのでは、 と筆者なりに推察します。 英語名は human papilloma virus (HPV) infection 、実は ウイルス感染症です。 そして一言でHPV感染といってもまたその種類が百種類以上 知られていますので、 イボという言葉のみで疾病の正しい情報伝達は難しい、 というのが結論ですね。 ネット記事は半分がウソ記事だと突く社会学者さんもいますので 皆さん、お気をつけください。

さて詳述は避けますが、いぼの方言名称は各地で さまざまな呼び方があるようです。 またありふれた疾患とはいえ古代から人々を悩ませてきた 病気ですから、 各地にありますイボ取り信仰にまつわる言葉も様々なようです。 共通語・イボ(取り)地蔵になりますと更にそのネット情報は増えます。

という事で実は大西村にインボ岩というのがあります。 その昔に村人がこの岩に向かって拝み続けたところ イボが取れたという奇跡の言い伝えが脈々と語り継がれて現代に至り、 岩に病気を治す神様がいるといまだに信じられているのです。

でも ・・・、祈らなくっちゃインボはとってやんないぞ、 などという神様が本当にいるのですか。 それじゃ本物の神様じゃない、むしろ疫病神、悪魔ですね。 「善人なおもてインボが取れる、いわんや悪人をや。」 ですから私は大西村のインボ岩は信じません。しゃみしゃっきり。

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